p1 障害者差別解消法医療関係事業者向けガイドライン〜医療分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針〜の改正案に関する意見募集の結果について 令和6年3月31日 厚生労働省 医政局総務課  障害者差別解消法医療関係事業者向けガイドライン〜医療分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針〜の改正案について、令和6年2月17日(土)から同年3月17日(日)まで御意見を募集したところ、計208件の御意見をいただきました。  お寄せいただいた御意見の要旨とそれに対する考え方について、内容により分類し、以下のとおり取りまとめましたので、公表いたします。  皆様の御協力に深く御礼申し上げるとともに、今後とも厚生労働行政の推進に御協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。 p2 案に対する御意見の要旨 御意見に対する厚生労働省の考え方 No.  全体に対する御意見について 1 案に対する御意見の要旨 対応指針改正案が、PDFでパブコメされている。電子的に読むことを想定して、その可読性を確保するために、最低限でもしおり付きPDFにして提供されるのがよい。これにより、所望の箇所を簡単にいったりきたりした見方も容易にできる。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘については、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、原案のとおりとしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 2 案に対する御意見の要旨 2行にまたがるURLにおいて、ハイパーリンクも2行に分離され、クリックしても所望のウェブページを見ることができなくなっている箇所がある。ハイパーリンクのURLを適切にする。さらに2行にまたがらないようにArial Narrowなどの横幅の狭い英語のフォントを使うなどして見やすくするのがいいのではないか。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ修正しました。 3 案に対する御意見の要旨 全体的にURLが“http”で開始するものを記載してしまっているものが散見される。よりセキュアであることが明示可能な“https”に記載を修正すべき。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ修正しました。 4 案に対する御意見の要旨 ガイドラインに国民という文言があるが、外国籍を持つ人に対してもこのガイドラインを適応することが必須となると考えられる。その点を踏まえてガイドラインに明記してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(令和5年3月14日閣議決定。以下「基本方針」という。)における表記に合わせています。 No.  「第1 趣旨」について 5 案に対する御意見の要旨 【(1)障害者差別解消法制定の背景及び経過】 「近年、障害者の権利擁護に向けた取組が国際的に進展し、平成18年に国連において、障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し、並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進するための包括的かつ総合的な国際条約である障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)が採択されました。」について、冒頭「近年」について、国連での障害者権利条約採択は平成18年(2006年)で、採択後すでに18年経過しており、「近年」は不適切となっているので適切な語句に修正する(「近年」は、「最近の数年間」を指す)。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ「近年」を削除しました。 p3 6 案に対する御意見の要旨 【(1)障害者差別解消法制定の背景及び経過】 障害者の権利に関する条約→「障害者の権利に関する条約」と「」を付ける。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、基本方針における表記に合わせています。 7 案に対する御意見の要旨 【(2)対象となる障害者】 まず初めに、いわゆる「社会モデル」の説明からはじめ、「障害者」ではなく「障害」についての共通理解を行い、それから、「対象者となる障害者」を規定するだけでも、さまざまな(場合によっては現時点では広く認知されていない)生活上の制限や困難を抱えている人を対象化することができるように思う。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、基本方針と同様の記述としています。 8 案に対する御意見の要旨 【(2)対象となる障害者】 女性、子供という複合マイノリティに言及している点は素晴らしい。ただ他のマイノリティ属性である人々も、障害に起因する困りごとが、障害とは別軸のマイノリティであるがために表面化されにくかったり、福祉、医療に繋がりづらい・福祉、医療への不信感を抱きやすいことにも触れられるとなお良い。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、基本方針と同様の記述としています。 9 案に対する御意見の要旨 【(2)対象となる障害者】 「また、特に女性である障害者は、障害に加えて女性であることにより、さらに複合的に困難な状況に置かれている場合があること、障害児には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに留意する必要があります。」と記載していることはとても重要であり、今後もこの内容を踏まえて実際の対応がなされることが必須であると考える。 御意見に対する厚生労働省の考え方 賛成の御意見として承ります。 p4 10 案に対する御意見の要旨 【(4)医療分野における対応指針】 「本指針の対象となる医療関係事業者」の部分に、「など」ではなくすべての事業者を記載する。また、従事する対象者も記載する。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、医療法第1条の2に規定する医療提供施設を列挙したものです。 また、本指針の対象となる医療関係事業者の範囲については、4ページ(るびなし)に記載しているとおりです。 11 案に対する御意見の要旨 これまで地方公営企業法により除外となっていた公立病院等も今回の改正で法的義務の対象となることもどこかに書いておいてほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 公立病院については、法改正以前も本指針の対象事業者とみなしており、今回の法改正をもって取扱いが変わるわけではないため、記載しないこととしました。 12 案に対する御意見の要旨 【注】 ※1および※2にダイレクトにつながるリンクを入れてはどうか。 また【参考ページ】でまとめて紹介してもよいのではないか。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ、※1・※2に対応するURLを追記しました。 No.  「第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方」について 13 案に対する御意見の要旨 【(1)不当な差別的取扱い】 不当な差別的取扱いの例示として、本人に話しかけず介助者家族に話しかけることを追記してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 第3(1)で、「○サービスの提供に当たって、他の者とは異なる取扱いをすること」の例示として、「・本人を無視して、支援者・介助者や付添者のみに話しかけること」と記載しています。 p5 14 案に対する御意見の要旨 【(1)不当な差別的取扱い】 ここに示される「不当な差別的取扱い」ではあたかも「不当ではない差別的取扱い」が存在する、或いはその余地がある、と読み手に誤読させかねない。「差別的取扱い」がまず「不当」なものにも関わらず、わざわざ「不当な差別的取扱い」と二重の意味付けをさせることで、「差別的取扱い」そのものが当事者を医療へのアクセスから遠ざけ心身の健康を損なわせている、そのことが後景に退いている。不当でなくても「差別的取扱い」を許さないことを明記してほしい。「不当な差別的取扱い」の文言を「差別的取扱い」に変更してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、基本方針と同様の記述としています。 15 案に対する御意見の要旨 【(1)不当な差別的取扱い A正当な理由の判断の視点】 障害者がいまだに「他の人と平等にしか取扱いできない」と断られることが多く、また積極的優遇措置は障害者本人の意向に基づいて行われるべきで、そのことを記載してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 合理的配慮については、当該障害者本人の意向を尊重しつつ、具体的な場面や状況に応じて提供される必要があることをお示ししています。 16 案に対する御意見の要旨 【(1)不当な差別的取扱い A正当な理由の判断の視点】 「事業者は、正当な理由があると判断した場合には?丁寧に説明し、理解を得るように努めることが望まれる」と綺麗な言葉で書かれているが、これは「事業者側から障害者への理解の押し付け」という見方もできる。事業者側が「丁寧に説明したが障害者からの理解が得られなかった」と述べた場合、障害者側に責任を押し付けることにもなりかねない。本当に事業者側が誠意を尽くしきった場合であればよいが、それも誰が誠意を尽くしきれていると判断できるのか。各地の障害者差別解消相談センター等の相談窓口が事業者側と障害者側の橋渡し役となり建設的対話の促進に尽力してもらえると良いが、障害当事者としてのこれまでの経験上、そのようなことは残念ながら期待できないように思う。経験上、相談窓口が裁判での解決を勧める場合もあると思うが、裁判を起こせるほど余力のある障害者は限られているし、障害者問題に尽力してくださる弁護士さんの数も限られていることから、やはり障害者側が諦めざるを得ない結果となるような気がする。こうした障害者側の事情をよく理解してくださっている事業者もあるとは思うが、事業者側に障害者側の事情をより理解していただくためにも本ガイドラインでは上記のような障害者側の事情等も記載してもらいたい。そして「丁寧に説明し」のあと「障害者側と合意形成できるまで、事業者側は一方的に拙速な結論を導き出そうとせず、パターナリスティックな対応にもならないように十分注意し、丁寧な建設的対話を行ってください」と要望させていただきたい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、基本方針と同様の記述としています。 p6 17 案に対する御意見の要旨 【(1)不当な差別的取扱い A正当な理由の判断の視点】 「事業者は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明するものとし、理解を得るよう努めることが望まれます。その際、事業者と障害者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図ることが求められます。」と記載されているが、説明が丁寧であるというのは誰の基準か? 丁寧であれば良いというのではなく、丁寧に説明するのは当然のことと思う。 また、「事業者と障害者の双方がお互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を」と書かれているが、そもそも医療を提供している事業者と医療を受ける立場の障害者の立場の差を考慮すれば対等ではないため、医療を受ける側の障害者が事業者の立場を尊重するということは、社会的な不均衡のある状態で障害者側に負担を強いるものにならないか? 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、基本方針と同様の記述としています。 18 案に対する御意見の要旨 【(1)不当な差別的取扱い A正当な理由の判断の視点】 「事業者と障害者の双方が、お互いに相手の立場を尊重する」というのは具体的にどういうことなのか具体例などを明示してほしい。お互いの立場を尊重することは大切であるとは強く思うが、ただでさえ事業者(本ガイドラインは医療関係者向けであるため特に病院)と障害者は対等ではないことから、障害者が優位な立場にある事業者の立場を尊重しなければならないという点が理解できない。文言を見直してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、基本方針と同様の記述としています。 19 案に対する御意見の要旨 【(1)不当な差別的取扱い A正当な理由の判断の視点】 本ガイドラインでは「客観的」かどうかは誰が判断する/できると考えているのか? また、「第三者」として妥当だと思われる者の具体例を挙げてほしい。少なくとも私たちの経験からは事業者内の人物、法人内に設置されている倫理委員会等は第三者として妥当だとは思えない。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、基本方針と同様の記述としています。 p7 20 案に対する御意見の要旨 【(2)合理的配慮 】 「合理的配慮」の訳語を見直し、「合理的調整・修正」とするべき。障害者に関する条約第二条では「合理的配慮(reasonable accommodation)」について「障害者がすべての人権及び基本的自由を他の者と平等に享受し又は行使することを確保するために、特定の場合に必要な場合には、不相応又は不当な負担を課さない必要かつ適切な修正及び調整」と定義しているので、「調整・修正」という言葉を入れた方がわかりやすい。そもそも、accommodationには配慮という意味はないし、「配慮」には「思いやり」など、「障害者に、何々してあげる」というニュアンスを拭えない。人権に基づく合理的調整であることを明確にするべき。 御意見に対する厚生労働省の考え方 「合理的配慮」については、基本方針に合わせた文言としています。 21 案に対する御意見の要旨 【(2)合理的配慮 @合理的配慮の基本的な考え方 <環境の整備との関係>】 バリアフリー化を「個別の場面において、個々の障害者に対して行われる合理的な配慮を的確に行うため」に実施されるものとしているところは良い。「不特定多数の?」では、最大公約数的なやり方をチェーン展開することが望ましいとされているかのような印象を受けるので。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、基本方針と同様の記述としています。 22 案に対する御意見の要旨 【(2)合理的配慮 A過重な負担の基本的な考え方】 説明の際はのちのちのことも考えて、双方があとからでも確認できるようにしっかりと記録を残しておくことも明記しておくとよいのではないか。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、基本方針と同様の記述としています。 No.  「第3 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の例」について 23 案に対する御意見の要旨 【(1)正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例】 第五次障害者基本計画に「障害福祉サービスの提供に当たっては、利用者の意向を踏まえ、本人の意思に反した異性介助が行われることがないよう取組を進める。」が新設された。とりわけ医療分野の現場にかかわりが深いことなので、この記述を、本ガイドラインの本文にも加えられたい。具体的に理解が進むように、記述に関連する事例も、不可欠である。 記述案: 「障害福祉サービスの提供に当たっては、利用者の意向を踏まえ、本人の意思に反した異性介助が行われることがないよう取組を進める。」 事例案: (事例)入院先で日常的に異性介助が行われている。女性の入浴や排泄や夜勤時の介助は女性の従事者にして欲しいと希望を出しても、対応されなかった。男性の介助を受けることを了承しなければ介助をしないと言われた。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 p8 24 案に対する御意見の要旨 【(1)正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例】 人的体制、設備体制が整っていなくても、サービスの提供を拒否されていないにも関わらず、障害者が同等のサービスを受けようとしたときの断るための常套句として、人的体制、設備体制が整っていないが使われる。工夫、調整、障壁の除去はすべての事業者が行うべきであり、サービス不提供は限定的であることを明記する。 御意見に対する厚生労働省の考え方 第2(1)Aでは、不当な差別的取扱いであるか否かの判断の視点として、その取扱いを行う正当な理由の有無が重要であることをお示ししています。正当な理由に相当するか否かについて、事業者は、個別の事案ごとに、障害者、事業者、第三者の権利利益の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。 25 案に対する御意見の要旨 【(1)正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例】 「〇サービスの提供を制限すること(場所・時間帯などの制限)」のうち、3点目「・医療の提供に際して必要な情報提供を行わないこと」について、病院側の一方的な判断で、この情報が患者にとって必要か不要かが判断されたり、「本人のために」「治療上の理由」などで説明が行われなかったりすることがあると思う。「本人のため」「治療上の理由」などは、本ガイドラインでは「正当な理由」と考えるのかどうなのか明示してほしい。また、本ガイドラインは医療関係事業者向けのものではあるが、基礎的なこともかなり記載されていることから、「説明」に関することについては「インフォームド・コンセント(・アセントや・チョイス等も併せて)」「アドヒラアランス」「(医療における)コンプライアンス」等についての記述もしてほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 第2(2)Aでお示ししているとおり、正当な理由に相当するか否かについては、事業者は、個別の事案ごとに、障害者、事業者、第三者の権利利益の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。 p9〜10 26 案に対する御意見の要旨 【(1)正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例】 「〇サービスの提供に際し条件を付すこと(障害のない者には付さない条件を付すこと)」のうち、「正当な理由なく、保護者や支援者・介助者の同伴を診察・治療・調剤等の条件とすること」の後に「正当な理由なく、保護者や支援者・介助者の同伴を拒否すること」を加えてほしい。医療機関が「同伴を拒否する」ことが多い現状を踏まえた要望。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ追記しました。 27 案に対する御意見の要旨 【(1)正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例】 「○サービスの提供に当たって、他の者とは異なる取扱いをすること」のうち、「・大人の患者に対して、幼児の言葉で接すること」について、さすがに「??でちゅよ」などの口調は不適切と思うが、「分かりやすい言葉で説明する」といった例は差別的にはあたらないと思うので、注釈をつけるなどして文言を見直してはどうか。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ「幼児の言葉」を「赤ちゃん言葉」と修正しました。 28 案に対する御意見の要旨 【(2)正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例、(5)合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例】 (意見の趣旨) @本改正案に新設されている「(2)正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例」は全て削除すべきである。 A「(5)合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例」を挙げる場合は、拡大解釈されないように十分注意した上で慎重に行うべきである。 (意見の理由) @対応指針においては、正当化事由の具体例を示すべきでない。なぜなら、差別的取扱いの事例は合理的配慮の提供により、区別、排除又は制限等を回避でき、合理的配慮の不提供の問題に集約される場合がほとんどであり、正当化事由の適切な具体例が見当たらないこと、また、正当化事由に当たるか否かは事案ごとに異なり、その多様性が大きいにもかかわらず、正当化事由に当たる具体例を挙げてしまうと、そのような場合は一律に正当化事由に当たるとの誤解や拡大解釈を招き、障がいのある人の権利保障が後退しかねないからである(2015年7月16日付け当連合会「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律のガイドラインについての意見書」8頁及び2023年1月12日付け当連合会「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(改定案)に対する意見」を参照。)。 詳解するに、「正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例」の一つ目として本改正案に示されている、「車椅子の利用者が畳敷きの個室の利用を希望した際に、敷物を敷く等、畳を保護するための対応を行うこと。」という例は、「敷物を敷く」ことが差別的取扱いに当たらないと整理するのではなく、「敷物を敷く」ことを一例とする合理的配慮を提供することにより障害者も個室を利用することができる例として挙げるのが適切であり、「正当な理由がある」例として挙げるべきではない。 二つ目の、「手続きを行うため、障害者本人に同行した者が代筆しようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況や本人の手続の意思等を確認すること。」という例は、本人の意向確認と合理的配慮の提供の必要性という異なる問題が混在しており、読み手に問題の所在を混乱させる恐れがある。同行者が代筆しようとした際に本人の手続の意思等を確認することは、本人の意思確認であり、そもそも差別的取扱いが問題となる場面ではない。また、「プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況」を確認することについては、「障害の状況等を確認する」ことが差別的取扱いに当たらないと整理するのではなく、「障害の状況等を確認」し合理的配慮を提供することが適当な例として挙げるのが適切であり、「正当な理由がある」例として列挙するのは不適切である。  以上のとおり、本改正案で挙げられている「不当な差別的取扱いに該当しない」と考えられる事例は、いずれも提示事例として不適切である。 A「合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例」を挙げる場合は、拡大解釈されないよう十分注意した上で慎重に行うべきである。 この点、本改正案において「合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例として挙げられている「事業者において、事業の一環として行っていない業務の提供を求められた場合に、その提供を断ること。」は、「事業の一環として行ってない業務」の内容が不明確であり、そのため、本来、合理的配慮がなされるべきであるにもかかわらず、「事業の一環として行っていない業務」であるなどとして合理的配慮が提供されない事態を招きかねない表現である。誤解や拡大解釈につながる危険性が極めて高く、不適切であって、例として挙げるべきではない。 さらに、合理的配慮の提供義務に反しない例を挙げる場合は、このように影響が大きい対応指針に記載するのではなく、より具体的な内容を記載することで、事例を十分精査でき、判断要素や判断過程を書き込むことのできるマニュアル等に記載するべきである。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の例示は、基本方針に基づき記載したものであるため、いずれも原案のとおりとしました。 p11 29 案に対する御意見の要旨 【(3)合理的配慮に該当すると考えられる例】 「○基準・手順の柔軟な変更」のうち、「・障害の特性に応じて施設のルール、慣行を柔軟に変更すること」について、「慣行」を例示してほしい。事業者側はあまりにも当たり前すぎて慣行だと気付いていない場合がある。 直後の括弧内で例示しています。 30 案に対する御意見の要旨 【(3)合理的配慮に該当すると考えられる例】 「〇補助器具・サービスの提供」のうち、情報提供方法の例示として「テキストデータ」が明記されていることは大切なことである。具体的に、患者教育資料や検査結果までも含め、データ提供できることを望む。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見については今後の参考とさせていただきます。 31 案に対する御意見の要旨 【(3)合理的配慮に該当すると考えられる例】 設備について、費用や敷地の余裕が大きく関係するが、多機能トイレの設置についても触れてほしい。また手話通訳者の常時配置にも触れてほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 第3(3)で、<バリアフリーに関する環境の整備の例>として、トイレをバリアフリー化することを例示しています。 また、手話通訳については、必要に応じて配置することとしています。 p12 32 案に対する御意見の要旨 【(3)合理的配慮に該当すると考えられる例】 脳性まひの人から(介助者家族含む)申し出があった際に本人が座りやすい椅子に座ってもらうことを追加してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 33 案に対する御意見の要旨 【(3)合理的配慮に該当すると考えられる例】 知的障害などがある人が活用できるよう、母子手帳の『わかりやすい版』の作成と配布を進めるとともに、現在ある点字版のほかに、拡大文字版やテキストデータ版を提供することを追記する。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 34 案に対する御意見の要旨 【(3)合理的配慮に該当すると考えられる例】 医療機関の建物設備および、内診台やマンモグラフィーなどの検査機器を、障害のある人にも使いやすいものにすることを追記する。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであることから、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 p13 35 案に対する御意見の要旨 【(3)合理的配慮に該当すると考えられる例】 <職員などとのコミュニケーションや情報のやりとり、サービス提供についての配慮や工夫>の最後「特別なコミュニケーション支援が必要な障害児者の入院に当たっては、医療機関は院内感染対策に配慮しつつ、可能な限り支援者が付き添えるよう配慮すること」の次に、以下を補足いただきたい。事務連絡のリンクは掲載されているが、実際には参照しないことも多いと思われるため、最低限の補足説明が必要と考える。 ・「この支援は、医療機関の職員が、当該入院中の患者とのコミュニケーションの技術を習得するまでの間において行われるものであるとはいえ、短期間では習得困難なケースが多々あることに注意すること」 ・「また、コミュニケーション支援の一環として、例えば、適切な対位交換の方法を看護職員に伝えるため、看護職員が支援者と一緒に直接支援を行うことも想定されるが、その際も、必ず患者本人の意思を確認し、患者本人のタイミングに合わせて行うこと」 ・「なお、医療機関の職員は、この支援が行われるに当たり、支援の範囲、方法などについて患者本人、支援者と十分に調整すること」 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を反映するとともに、参考ページにリンク先の通知の内容を記載しました。 36 案に対する御意見の要旨 【(3)合理的配慮に該当すると考えられる例】 <職員同士での連絡手段の工夫>について、外見上、分かりづらい障害者の情報を共有する際にはプライバシーに配慮し差別的な取扱いとならないようにしてほしい。情報共有の参考例も示してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ追記しました。なお、情報共有の参考例については、受付票に障害者である旨が分かる連絡カードを添付することを記載しています。 37 案に対する御意見の要旨 【(3)合理的配慮に該当すると考えられる例】 合理的配慮の実施に伴う負担が過重である・ないというのは、どのように判断するのか。個別の事案によって判断すべきというのは踏まえた上で、事業者による恣意的な判断だけが優先されるわけではないことを明記すべき。また、「過重とは言えない負担」として想定される状況を例として付記されるとなお良い。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 p14 38 案に対する御意見の要旨 【(4)合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例】 筆記が困難なためデジタル機器の使用に関する例が挙げられているが、筆記だけでなく、肢体不自由や精神疾患等で移動が困難なためオンライン会議システムの使用を求められた際に拒否した場合も差別的取扱いとして例示してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 39 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 「なお、障害の程度や状態等、具体的場面に応じて柔軟に対応することに留意する必要があります。」との部分は、「障害の程度や状態等」を「その方の抱える制限や困難の程度や状態・様相等」というような表現にしてほしい。 この全文引用した段落が、「障害」への対応ではなく「人」への対応であることがもっと伝わったうえで、障害特性に応じた対応の具体的例示に入っていただきたい。 「代表的な」と、この節全体も「例示」であることは示されていますが、分量が多く、全体を見渡すと、項目としては「視覚障害」「聴覚障害」といった限定列挙の形になってしまう。「あ、あなたは該当していませんね」と見過ごされやすい形になってしまっていると感じたので、せめて総論にあたる上記段落に一工夫が欲しい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 40 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 視覚障害(視力障害・視野障害) 〔主な特性〕で、「視力障害:視覚的な情報を全く得られない又はほとんど得られない人と、文字の拡大や視覚補助具等を使用し保有する視力を活用できる人に大きく分けられる(全盲、弱視といわれることもある)」とし、〔主な対応〕 で、「音声や点字表示など、視覚情報を代替する配慮」としており、情報提供の仕方についての説明はあるが、提供すべき情報量についての説明がない。視覚障害の状態によって理解するための情報量は異なるから、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けられるためには提供されるべき情報量が異なることを説明しておくべき。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 p15 41 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 肢体不自由 「○車椅子を利用されている場合」の〔主な対応〕のうち、「・脳性麻痺」に、「車椅子を利用しようとされていない人もいる」「力のコントロールが難しい」を加筆する。 「○杖などを使用されている場合」の〔主な対応〕に、柔軟な動きが困難で筋緊張で疲れやすいため、クッションのある背もたれのある椅子に座らせる、を追加してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 42 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 肢体不自由 「言葉の理解に関わる合併を持たない人に対してまで「赤ちゃん言葉」のような話し方をしない。発声に障害を抱える人に対しては特にこれに注意する」を追加してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 第3(1)正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例として、「・大人の患者に対して、赤ちゃん言葉で接すること」と記載しています。 43 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 失語症 緘黙や吃音の説明も入れてほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 失語症については、「失語症のある人の雇用支援のために」(障害者職業総合センター)から引用しているため、原案のとおりとしました。 p16 44 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 高次脳機能障害 〔主な対応〕に、本人をよく知る家族に本人の対応について聞く、を追加してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 45 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 内部障害 「副腎機能」も追加してほしい。内部障害は長年、身体障害者福祉法の定義が用いられており、本ガイドラインもそれに倣っていると思われるが、副腎機能に障害のある者も〔主な特性〕として示されている「疲れやすく長時間の立位や作業が困難な場合」に該当する。しかしそれが世間に認知されていないためいつまで経っても内部障害の定義が改正されず、副腎機能に障害がある人たちは障害者手帳や障害年金が取得しづらい状況に置かれている。 また、人工肛門だけでなく、人工膀胱の場合も想定してほしい。提案として「ストーマ(人工膀胱・人工肛門)」としてほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 46 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 重症心身障害・その他医療的ケアが必要な者 知的障害 重症心身障害や知的障害の説明に含んでいるのかもしれないが、強度行動障害の説明も入れてもよいのでは? 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 p17 47 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 知的障害、発達障害(○自閉症、アスペルガー症候群を含む広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)) 〔主な対応〕に以下を追加してほしい。 ・ゆっくり、ていねいに、分かりやすくの後に「くり返す」。(知的障害) ・「あれ」や「これ」などの抽象的な言葉ではなく具体的に ・音声言語だけではなく、具体物やメモ等を併用する 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 48 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 発達障害(○自閉症、アスペルガー症候群を含む広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)) 〔主な対応〕の「・本人をよく知る専門家や家族にサポートのコツを聞く」の前に、まず本人にどうされるのが良いか、普段どうしているかを本人に確認することも明記してほしい。 また、視覚的な伝え方の工夫の中に、待ち時間や今後の流れ、手順など見通しが持てるような工夫を取り入れてほしいことを明記してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 49 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 発達障害(○学習障害(限局性学習障害)) 学習障害の項で文字を大きくする等の例が挙げられているが、併せてUDフォントを紹介するのも有りだと思う。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 p18 50 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 発達障害(○注意欠陥多動性障害(注意欠如・多動性障害) ) 注意欠陥多動性障害のストレスケア、寄り添いの具体例として「できない理由を真剣さ、関心の高低に見出すような語り方をしない。(例:本人も重視しているトピックについて、覚えていられなかった・忘れてしまったのはそのトピックについて関心が低いからだ、というようなことを言う)」を提案する。これはほかの発達障害にも言えるかもしれない。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 51 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 精神障害 精神障害の例の中にPTSDも入れてほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 52 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 精神障害(○依存症(アルコール)) なぜ依存症の説明はアルコールだけなのか?薬物やほかの依存症のことはなぜ明記できないのか理由が知りたいし、ほかの依存症についても明記してほしい。本ガイドラインはかなり基礎的なことまで書かれており、世間に認知されていないものを明記することも本ガイドラインの意義があると考えるため。物質依存、プロセス依存それぞれの依存症を明記してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 p19 53 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 精神障害(○認知症) 徘徊は削除して違う言い回しにしてほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ「歩き回る」と修正しました。 54 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 てんかん 〔主な対応〕について、「内服を続けることが重要である」ということと、「発作が起こってしまったときの対応」は別にしてほしい。例えば「内服を適切に続けることが重要」で止めて、古くから言われている「発作時に口に何かを入れる」のは誤った対応であることなども書いてほしい。差別的取扱いの事例が明示されていることも踏まえ「不適切な対応」として学会等で定められているものは、てんかんに限らず、ほかの疾病・障害の特性の部分でも明記してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 55 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 難病 難病のパートを全体的に充実させてほしい。メディカルブレスを装着していたり、医師からの指示書や頓服薬、自己注射等をヘルプマークとともに身に着けている場合もあるので、障害者が具合悪そうにしているときにそのようなものを身に着けていたり保持していないか確認したり、保持していた場合には指示に沿った対応をしてくださいというような文言を入れてほしい。 【参考ページ】で障害者に関係するマークの中に、メディカルブレスや製薬会社から配布されている緊急カード(例:ファイザーが出している副腎不全に関するカード)なども入れてほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 56 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 難病 日内変「化」ではなく日内変「動」が正確。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ修正しました。 No.  「第4 事業者における相談体制の整備」について p20 57 案に対する御意見の要旨 基本方針には「各種啓発活動や研修等の実施に当たっては、障害のある女性は、障害があることに加えて女性であることにより合理的配慮の提供を申し出る場面等において機会が均等に得られなかったり、不当な差別的取扱いを受けやすかったりする場合があるといった意見があること(中略)についても理解を促す必要があることに留意する。」と定められた。今後の対応指針には、この一文に対応した事例が必要である。それにもかかわらず、本ガイドライン案には、対応関係を読み取れる事例がない。障害のある女性に関してどのようなことが差別にあたるか、どのようなことが望ましい取り組みで、合理的配慮を提供することになるか等について、本ガイドライン案では示せていないため、事例を追加すべきである。 また、「例えば女性の相談員を配置することも考えられます」という記述がありこれ自体は必要なことだが、相談員が女性の場合も、障害のある女性が被っている差別について研修が必要である。例えば内閣府や金融庁、文科省、国土交通省等の対応指針の「事業者における相談体制の整備」の項目には、「相談時には、性別、年齢、状態等に配慮するとともに」といった記述があり、相談および職員啓発研修の前提ともなる重要な記述だが、本ガイドライン案には見られないため、記述を加えることが必要である。 記述案: 「事業者における相談体制の整備」の項に、「相談時には、性別、年齢、状態等に配慮するとともに」という記述を加える。 事例案: (事例)障害がなかったころは積極的に産むように言われていた。障害をもつようになってから妊娠したときには中絶を勧められた。 (事例)福祉施設の利用者が妊娠していたにもかかわらず、施設の従事者がそれにまったく気づかなかった。障害のある女性が嬰児遺棄の罪に問われる事態となってしまった。 (事例)相談にたずさわる担当者の研修に、毎回、「障害のある女性と複合差別」を設けて、それぞれ障害の異なる複数の女性を講師として招き、全員で意見交換を行っている。 (事例)性的被害について届け出たが、目が見えないのに加害者についてわかるはずがない、知的障害があるから確かな話ではない、などの見方をされ、自分の話を信じてもらえなかったことがある。 御意見に対する厚生労働省の考え方 第4で、「また、相談等に対応する際には、障害者の性別・年齢・状態等に配慮することが重要です」と記載しています。 p21 58 案に対する御意見の要旨 例として女性の相談員が挙げられているが、その直前に「性別、年齢、状態などに配慮することが重要」とあるため、障害者かつセクシュアルマイノリティという方もいることを想定した対応ができる人を相談窓口におくことも重要であると明記してほしい。さらに、代筆研修のように、障害者かつセクシュアルマイノリティである人が抱える社会的障壁についての研修を行ったり、相談窓口のよく見えるところにレインボーマークを掲示する等も書いてほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 No.  「第5 事業者における研修・啓発、障害を理由とする差別の解消の推進に資する制度等の整備」について p22 59 案に対する御意見の要旨 研修の重要性、虐待防止について書かれているため、トラウマインフォームドケアについても触れてほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追記しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 No.  「第6 国の行政機関における相談窓口」について 60 案に対する御意見の要旨 「福祉事業所などの」とあり、現行のガイドラインでは「福祉事務所、児童相談所」が挙げられているが、本ガイドラインは「医療」関係事業者向けであることから「難病相談支援センター」「難病対策地域協議会」や各種患者団体等に相談することも例示してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 「難病相談支援センター」は、「福祉事業所など」の「など」に含まれます。一方で、「難病対策地域協議会」は、地域における難病の患者への支援体制に関する課題について情報を共有し、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行う場であり、相談窓口ではないため、盛り込むことは適当ではありません。また、各種患者団体についても同様に相談窓口ではないため、盛り込むことは適当ではありません。 No.  「第7 主務大臣による行政措置」について p23 61 案に対する御意見の要旨 「主務大臣」とは誰を指すのか例示してほしい。例えば厚生労働大臣なのか内閣府の特命大臣なのかなど。「法第12条には以上のように規定されているため、◯◯大臣から行政措置がなされる場合があります」と続けて明記してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、基本方針と同様の記述としています。 No.  「おわりに」について 62 案に対する御意見の要旨 「差別と解される?考えられます」の部分、良いと思う。 御意見に対する厚生労働省の考え方 賛成の御意見として承ります。 63 案に対する御意見の要旨 「国民一人ひとりの障害に対する理解と適切な配慮が不可欠であり」を「国民一人ひとりが障害に対する理解と適切な配慮を持つことが不可欠です」と文をより明確にし、主語と述語を一致させるのがいいのでは。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ、一部修正しました。 64 案に対する御意見の要旨 「お互いの意思疎通不足や理解の不足が起因していると思われることも見受けられます」を「お互いの意思疎通不足や理解不足が起因していることも見受けられます」に冗長な表現を簡潔にしたらどうか。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ、修正しました。 65 案に対する御意見の要旨 「法に定められたから義務としてやるという姿勢ではなく」を「法に定められた義務を果たすという姿勢だけでなく」に修正し、文をより明確にし、冗長な表現を削除するのがいいのでは。 御意見に対する厚生労働省の考え方 原案のとおりとしました。 66 案に対する御意見の要旨 「より具体的な事例、特に好事例をお示しできるよう随時見直しを図るなど努めてまいります」を「より具体的な事例や特に好ましい事例を提供できるよう、随時見直しを行うなど努めてまいります」に修正し、文をより明確にし、冗長な表現を簡潔にしたほうがいいのでは。 御意見に対する厚生労働省の考え方 原案のとおりとしました。 p24 67 案に対する御意見の要旨 「事業者のみなさまの法に関するより深い理解と、障害者差別解消に向けた取組を積極的に進めて頂きますようお願いします」を「事業者の皆様には、法に関する理解を深めつつ、障害者差別解消に向けた取組を積極的に推進して頂きますようお願いします」に修正し、より丁寧な表現に変更し、文をより明確にしたらどうか。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ修正しました。 68 案に対する御意見の要旨 「本指針は、そうした事業者の取組に資するよう、今後も、より具体的な事例、特に好事例をお示しできるよう随時見直しを図るなど努めてまいります。」と記載されていますが、「随時見直し」がどのように実施されるかが不明確になっていて、見直しがされないリスクもあるのではないかと思います。せめて、少なくても3年毎に見直しを行うとか、毎年見直しを行うとか、最遅の期間を明記したほうがよいのではないか。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見として承ります。 No.  参考ページについて 69 案に対する御意見の要旨 【■ 障害者に関係するマークの一例】【■ コミュニケーション支援用絵記号の例】 近年、障害者に関するマーク(ピクトグラム)が充実してきたことを反映して、言語での意思疎通がしにくい患者や付添いの人などに適切にサポートするためにも、「アクセシビリティ」に関するピクトグラムも追加掲載するとよい。 (a) JIS規格(JISZ8210)の「公共・一般施設」から障害者に関するマーク該当の図記号 (障害のある人・けが人優先設備、内部障害のある人優先設備、障害のある人・けが人優先席、内部障害のある人優先席、介助用ベッド、スロープ)  https://www.mlit.go.jp/common/001315215.pdf (b) 「標準案内用図記号ガイドライン2021」の「アクセシビリティ」から障害者に関するマーク該当の図記号 ((a)をすべて含む。「パニック等を起こした際に静かに休憩できる場所を設けること」(p17)にあたる、「カームダウン・クールダウン」のマークも収録している。)  https://www.ecomo.or.jp/barrierfree/pictogram/picto_009%E3%80%802021.html 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追加しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 p25 70 案に対する御意見の要旨 「医療関係事業者向け」の障害者差別解消法ガイドラインなので「難病の患者に対する医療等に関する法律」や「医療法」など、福祉系の法律だけでなく医療関係の法律も載せてほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 本指針は障害者差別解消法の考え方を明らかにする観点で作成していることを踏まえ、関連する法律を載せていますが、御意見については今後の参考とさせていただきます。 71 案に対する御意見の要旨 【■ 権利擁護に関連する法律】 権利擁護に関連する法律の紹介があるが、インフォームドコンセント、アドヒラアランス、インフォームドアセントなども患者の権利擁護にかかわる用語として入れてほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追加しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 72 案に対する御意見の要旨 【■ 権利擁護に関連する法律(その2)】 【児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)】の前か後に、「【こども基本法】」を追加してほしい。 2023年4月から施行された「子ども基本法」第3条第1項では、こども施策の基本理念として、「一 全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにすること」を掲げている。障害を持つこどもはより脆弱な環境に置かれており、十分な人権保障が得られるよう、医療関係事業者にその趣旨を周知徹底するためにも、こども基本法もぜひ掲げるべき。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、あくまで代表的な事例をお示ししたものであり、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、追加しないこととしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 p26 73 案に対する御意見の要旨 【■ 関連ホームページ、通知及び事務連絡】 “関連ホームページ”と記載されているが、本来の“ホームページ”はトップページのみをさす言葉。最近ウェブサイトと同義で慣例的に使うことがある。しかし、できるだけ本来の意味で使い、著作権法上の法律でも使われているウェブサイトの言葉を使用したほうが適切ではないか。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の箇所については、他分野の事業者向けガイドラインとの整合性の観点から、原案のとおりとしました。御意見については今後の参考とさせていただきます。 74 案に対する御意見の要旨 衛生事業者向けガイドラインの別冊に記載されている合理的配慮の具体例、不当な差別的取扱いの例示を、医療関係事業者向けガイドライン改正案にも盛り込んでほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 ご指摘の別冊「旅館業の施設における障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の例」については、衛生事業者向けであるため、本指針には盛り込まないこととしました。 No.  その他   75 案に対する御意見の要旨 新旧対照表 ・11ページの改正後欄の13行目「当たって」と、18ページの改正後欄の15行目「あたって」とは、どちらかに字句を統一したほうがよい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ「当たって」と修正しました。 76 案に対する御意見の要旨 新旧対照表 ・34ページの改正後欄の15行目「わかって」と、18ページの改正後欄の6行目「分かり」とは、どちらかに字句を統一したほうがよい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ「分かって」と修正しました。 77 案に対する御意見の要旨 新旧対照表 ・36ページの改正後欄の13行目「おきる」は「起きる」のほうがよい。同19行目の例と同様に。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見のとおりに修正しました。 78 案に対する御意見の要旨 新旧対照表 ・37ページの改正後欄の15行目「すべて」は「全て」のほうがよい。他の箇所の例と同様に。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見のとおりに修正しました。 p27 79 案に対する御意見の要旨 新旧対照表 ・34ページの改正後欄の15行目「飲むこと」は「飲酒すること」のほうがよい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 「飲むこと」でも意味が通じるため、原案のとおりとしました。 80 案に対する御意見の要旨 新旧対照表 ・35ページの改正後欄の8行目「等」は「など」のほうがよい。同10行目の例と同様に。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ「など」と修正しました。 81 案に対する御意見の要旨 新旧対照表 ・16ページの改正後欄の9行目「こと。」は「こと」のほうがよい。他の箇所の例のごとく。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見のとおりに修正しました。 82 案に対する御意見の要旨 新旧対照表 ・16ページの改正後欄の最下行の1行上「位置づける」は「位置付ける」のほうがよい。44ページの改正後欄の5行目の例のごとく。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ「位置付ける」と修正しました。 83 案に対する御意見の要旨 新旧対照表 ・2ページの改正後欄の2行目「障害者差別解消法」は、フルネームで記載するか、略称を定義したほうがよい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 原案のとおりとしました。 84 案に対する御意見の要旨 障害特性や病状、その日の体調により、マスクの着用やアルコール消毒などできない人がいる事を記載して欲しい。マスクは咳エチケットのひとつであり、消毒は手洗いができない場合の代替である。感染対策は体調を悪くしてまでするものではない。マスクしないから他の患者等と別室や室内に入れないなどの対応は差別である。また、病気や特性を誰に明らかにするかは本人の自己決定によって行われるべきで、マスクができない事でそのようなプライベートな事情を望まないままに明らかにしなければ診療拒否などの不利益を被る事についても差別であることを明示いただきたい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見については今後の参考とさせていただきます。 p28〜29 85 案に対する御意見の要旨 医療機関内に配置されている福祉専門職である「医療ソーシャルワーカー(MSWやMHSW)」の存在や役割についてまったく言及されていないと思う。MSWやMHSWは医療機関を利用する障害者側の権利を擁護するという立場に立って、医療事業者と障害者側の建設的対話を促進するように尽力すること等、明記してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見については今後の参考とさせていただきます。 No.  化学物質過敏症(香害、電磁波過敏症)について 86 案に対する御意見の要旨 化学物質過敏症患者が障害者差別解消法上の「障害者」に該当することをガイドライン上で明記してほしい。 化学物質過敏症、香害、電磁波過敏症について、名称、合理的配慮の対応例等を記載してほしい。 また、医療提供施設の医療関係事業者において、においを発するものをトイレなどの施設内、医療関係事業者の服等に使用しないようにしてほしい。その他、次に掲げる事項を実施いただきたい。 ・合理的配慮として、医療関係事業者や職員は原則、衣服には石けん洗剤や重曹、セスキなど人にも環境にも優しい洗剤を使うよう義務化すること ・医療提供施設内(トイレを含む)で使用する日用品の無香料化及び洗濯に使う合成洗剤、柔軟剤を無香料にすること ・医療関係事業者に対する化学物質過敏症等に関する理解・周知の徹底、教育の義務化 ・医療提供施設の受付など目立つ場所に、5省庁(消費者庁/文部科学省/厚生労働省/経済産業省/環境省)で作成した香害啓発ポスターを掲示することを義務付け、政府から香害による障害者差別をなくすための情報提供をすること ・医療提供施設の利用者等に無香料を呼びかけること ・医療提供施設では、禁煙と同様に、無香料での対応が可能なスペースと人員を確保すること(トイレに置くハンドソープの無香料化、芳香剤をなくす、消臭・抗菌効果のあるスプレーを使用しない、無香料の待合室、診察室等を準備する、換気等) ・ヘルプマークのように、「化学物質過敏症マーク」を作ること ・個人宅へ訪問する医療関係事業者に対しても、医療関係事業者側が香料や化学物質への配慮を行い、合成人工香料を含む洗剤及び抗菌除菌消臭成分を含む洗剤等の使用を原則禁止すること ・化学物質過敏症の専門医を受診できる日・時間帯を設けること ・医療提供施設内に相談窓口を設け、また医師や看護師が家庭訪問(着衣に注意)し、診察や聞き取りも出来るようにしておくこと ・医療提供施設で、香害の啓発ポスターなどを貼ること ・化学物質過敏症を理由に受診を拒否しないこと ・無香料ポリシーが全ての人に適用されることを明確にすること ・香害の原因になる日用品には無香料ポリシーを香水やコロンに限定しないこと ・病院内で使用する洗剤や消臭スプレー、芳香剤等の選定基準や院内規定を見直すこと 御意見に対する厚生労働省の考え方 障害者の定義については、障害者基本法をはじめ、法や基本方針に基づき記載しているため、原案のとおりとします。 柔軟剤などの香りで頭痛や吐き気等がするという相談が消費生活センター等にあることを踏まえ、消費者庁において厚生労働省を含む関係省庁と協力のもと作成している啓発ポスターについて、事務連絡を発出することなどにより、引き続き周知啓発を図ってまいります。 いただいた御意見については今後の参考とするとともに、引き続き、周知を図ってまいります。 ※上記のほか、44件の今回の意見募集に関係ない御意見をいただきました。