別紙1 「警察庁における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領を定める訓令案」に対する御意見・御質問に対する警察庁の考え方について 第7条 相談体制の整備について 1 第4項を次のとおり修正して欲しい。「第1項の相談窓口については、必要に応じ、相談体制の充実を図るものとする。」また、第5項として、「相談窓口について障害者及び関係者に分かりやすい形で周知されなければならない」と追加して欲しい。 2 相談窓口について、実効性を高める観点から周知に関する規定を追加すべきである。 1・2答 第4項については、頂いた御意見と同趣旨であることから、原案どおりとさせていただきます。相談窓口の周知に関しては、警察庁ホームページ等の各種媒体等を通じて実施してまいります。 3 相談者の性別に配慮した相談体制となるよう、相談体制の中に必ず女性を配置する旨の規定を追加して欲しい。 4 相談過程でコミュニケーション支援が受けられる体制を整備すると共に、当事者が望む者の同行や付き添いが認められるべきことを明記すべきである。 3・4答  御意見を踏まえ、第7条第2項を次のとおり修正いたします。「相談窓口においては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するとともに、対面のほか、手紙、電話、ファックス、電子メール等障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を、可能な範囲で用意して対応するものとする。」 第8条 研修・啓発について 5 警察学校のカリキュラムの中に科目を設けて、座学や実習を通じて障害者に対する理解をして欲しい。 6 障害のある女性等の複合的な困難に関して、研修の内容に含めることを明記して欲しい。 7 研修・啓発については、実効性が上がる取組を促すような記述とすべき。障害当事者や障害者団体による研修や、マニュアルの作成等が必要であると考える。 8 全職員に対して、効果的な研修の義務付け、専門的なプログラムの受講、福祉施設における実習を行うべきこと、さらに研修が障害や差別への理解を十分に深められるような内容のものでなくてはならず、定期的・継続的に行われるべきことを明記すべき。 5〜8答 研修・啓発については、第8条第3項において、内容、回数等の詳細は別に定めることとしております。頂いた御意見を踏まえ、警察学校等での研修、職員への啓発の内容が、更に障害に対する理解を深めることのできるものとなるよう、引き続き検討してまいります。 別紙 第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方について 9 以下の記述を加えるべきである。「障害当事者とその家族、介助者、障害者団体又は障害者に理解のある弁護士や社会福祉士等と連携し、蓄積した具体例を対応要領に十分に盛り込み随時更新すべきである。」 答 対応要領は警察庁職員の適切な対応に必要な事項を定めるものであり、頂いた御意見については、対応要領の位置付けとは異なることから、記載しないこととさせていただきます。なお、今後、具体例を蓄積し、関係機関等とも連携しながら、必要に応じて、対応要領の見直しを図ってまいります。 別紙 第2 正当な理由の判断視点について 10 「第2 正当な理由の判断の視点」中、「正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに…(略)…必要である。」という記載を、「正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、…(略)…障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。」と修正して欲しい。 答 御意見を踏まえ、「第2 正当な理由の判断視点」を次のとおり修正いたします。「職員は、正当な理由に該当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、…(略)…必要である。」「また、職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。」 11 正当な理由が拡大解釈されることのないよう、厚生労働省の福祉事業者向けガイドライン中の下記のような記載を追記して欲しい。「なお、「客観的に判断する」とは、主観的な判断に委ねられるのではなく、その主張が客観的な事実によって裏付けられ、第三者の立場から見ても納得を得られるような「客観性」が必要とされるものです。また、「正当な理由」を根拠に、不当な差別的取扱いを禁止する法の趣旨が形骸化されるべきではなく、抽象的に事故の危惧がある、危険が想定されるといった理由によりサービスを提供しないといったことは適切ではありません。」 12 経済産業省や厚生労働者の指針案にあるように、差別解消法に定める差別の禁止・解消との目的・趣旨に沿って、具体的な状況に応じて柔軟な対応が期待されていることや、正当な理由を拡大解釈しない、という旨の記載を追加して欲しい。 11・12答 頂いた御意見や他の御意見を踏まえ、「第2 正当な理由の判断視点」をNo.10のとおり修正しております。 別紙 第3 不当な差別的取扱いの具体例について 13 以下の具体例を追加すべきである。○知的障害、発達障害があるために、話ができない当事者に必要な当事者家族、支援者などによるコミュニケーション支援を確保しないこと。○不起訴の条件として福祉施設の入所を課すこと。○障害の特性等を理解せず、状態に応じた対応をせず、取調べ、交流、逮捕、起訴、公判の手続き等をし、障害のためにコミュニケーション等が取れない当事者に対して必要な支援を提供しないこと。○取調べ、拘留、逮捕、起訴などにおいて、障害の特性に対する理解がないまま、障害者に対して、暴力、暴言、差別的な言動をすること。○逮捕、拘留時等において障害当事者に必要な医療が提供されないこと、また、当事者家族の同意がなく、薬物投与がなされること。○混乱してパニックになっている自閉症のある人をいきなり押さえつけること。○運転に差し支えない病状で運転してきた人に対して、運転免許の交付や更新を停止する。○障害そのものだけでなく、障害があることによってやむなく起きる事象について上記の対応をする。例えば、障害があることによってやむなく起きる不自然な言動や表情を理由にして上記の対応をすることは、不当な差別的取扱いである。 答 頂いた御意見のうち、「知的障害、発達障害があるために、話ができない当事者に必要な当事者家族、支援者などによるコミュニケ−ション支援を確保しないこと」については、対応要領の別紙第3の5の具体例「障害があることを理由に、事務又は事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、来庁の際に付添人の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付添人の同行を拒んだりする」がこれに該当するため、記載しないこととさせていただきます。取調べに係る具体例を追加すべきとの御意見については、警察庁職員が取調べ等を行うことは想定し難いため、記載しないこととさせていただきます。また、具体例についてはあくまでも例示であり、記載されている具体例に限られるものではございません。頂いた御意見も踏まえ、今後、具体例を蓄積しつつ、関係機関等とも連携しながら、必要に応じて対応要領の見直しを図ってまいります。 14 より具体的な事業・業務内容に即した記述とすべき。 答 頂いた御意見も踏まえ、今後、具体例を蓄積しつつ、関係機関等とも連携しながら、必要に応じて対応要領の見直しを図ってまいります。 別紙 第4 合理的配慮の基本的な考え方について 15 「合理的配慮は、警察庁の事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること」とされているが、本来的業務の範囲を厳格に解釈して、合理的配慮を提供すべき場面を限定すべきではない。 答 合理的配慮については、基本方針において基本的な考え方が整理・記述されており、これに基づく対応要領においても同様の記述としております。 16 意思の表明について、「障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)」との記載を、(言語通訳・手話通訳・要約筆記者・盲ろう通訳等を介するものを含む。)とすべき。 答 頂いた御意見の「言語通訳、手話通訳、要約筆記者、盲ろう通訳等」については、原案の「通訳を介するもの」に含まれると解せるため、原案どおりとさせていただきます。 17 意思の表明について、「意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には…(略)…自主的な取組に努めることが望ましい。」とされているが、「自主的な取組を行うこととする。」とすべき。 18 意思の表明について、3の末尾を「自主的に取り組むものとする。」に、5の末尾を「盛り込むものとする。」と追加して欲しい。 答 御意見を踏まえ、別紙に第7として次の記載を追加します。「なお、別紙中、「望ましい」と記載している内容は、それを実施しない場合であっても、法に反すると判断されることはないが、障害者基本法(昭和45年法律第84号)の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できるだけ取り組むことが望まれることを意味する。」 別紙 第5 過重な負担の基本的な考え方について 19 「過重な負担については、適正手続を求められる司法分野においては、原則として考慮する必要はない。」とすべき。 答 過重な負担については、基本方針において基本的な考え方が整理・記述されており、これに基づく対応要領においても同様の記述としております。 20 下記の記述を追加すべき。「「過重な負担」とは、主観的な判断に委ねられるのではなく、その主張が客観的な事実によって裏付けられ、第三者の立場から見ても納得を得られるような「客観性」が必要とされるものです。また、「過重な負担」を根拠に、不当な差別的取扱いを禁止する法の趣旨が形骸化されるべきではありません。」 答 御意見を踏まえ、「第5 過重な負担の基本的な考え方」を次のとおり修正いたします。「職員は、過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、…(略)…必要である。「また、職員は、過重な負担があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。」 別紙 第6 合理的配慮の具体例について 21 合理的配慮の具体例の例示が少なく、それぞれの障害者に当てはめることが不可能であることから、障害当事者等と連携し、具体例を順次更新した上で、研修等を行うべき。  答 頂いた御意見も踏まえ、今後、具体例を蓄積しつつ、関係機関等とも連携しながら、必要に応じて対応要領の見直しを図ってまいります。  また、警察学校等での研修、職員への啓発の内容が、更に障害に対する理解を深めることのできるものとなるよう、引き続き検討してまいります。 22 物理的環境への配慮として、○「電光掲示板、磁気誘導ループなどの補聴装置の設置、音声ガイドの設置」○「光や音、触覚、においなどの感覚過敏がある障害者には、その対象となる刺激を軽減するような遮蔽板や耳栓などを用意したり、別室を用意する」を追加すべき。 答 具体例についてはあくまでも例示であり、記載されている具体例に限られるものではございません。頂いた御意見も踏まえ、今後、具体例を蓄積しつつ、関係機関等とも連携しながら、必要に応じて対応要領の見直しを図ってまいります。 23 以下の例を追加すべき。○疲れやすい痙性のある脳性まひなどの身体障害者に対して、ソファやベッドなどを用意し、取調べ用の椅子ではなくそこで事情聴取等を行う。また適宜休憩を取りながら取調べをする。○逮捕、取調べ等において知的はたつ身体障害者など、コミュニケーション支援が必要な障害者に対して、意思疎通を支援する支援者、家族等の人的支援を必ず行うこと。 答 頂いた御意見については、警察庁職員が取調べ等を行うことは想定し難いため、記載しないこととさせていただきます。 24 以下の例を追加すべき。○コミュニケーションに障害のある人が、窓口で込み入った話をすることが必要になったとき、大勢の人の視線に触れないよう、別室で対応する。○吃音や失語症など意思疎通が不得意な者に対し、時間制限を設けない。また、○意思疎通への配慮の具体例(8)について、知的障害がある場合には、申出の有無にかかわらず、(8)のような配慮をすべきことから、「知的障害者から申し出があった際に、」を削除すべき。 答 頂いた御意見のうち、「コミュニケーションに障害のある人が、窓口で込み入った話をすることが必要になったとき、大勢の人の視線に触れないよう、別室で対応する。」については、対応要領の別紙第6の3の具体例「(7) 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、発作等がある障害者の場合、緊張を緩和するため、当該障害者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する。」がこれに該当するため、記載しないこととさせていただきます。▼ また、具体例についてはあくまでも例示であり、記載されている具体例に限られるものではございません。▼ 頂いた御意見も踏まえ、今後、具体例を蓄積しつつ、関係機関等とも連携しながら、必要に応じて対応要領の見直しを図ってまいります。▼ その他 25 対応要領の内容が全体的に不足していると感じる。厚生労働省の指針案のように、具体的事例等を詳細に記載してほしい。また、関連ホームページ一覧を対応要領案に追加して欲しい。  答 頂いた御意見も踏まえ、今後、具体例を蓄積しつつ、関係機関等とも連携しながら、必要に応じて対応要領の見直しを図ってまいります。 なお、対応要領は警察庁職員の適切な対応に必要な事項を定めるものであり、「関連ホームページ一覧を対応要領案に追加して欲しい」との御意見については、対応要領の位置付けとは異なることから、記載しないこととさせていただきます。