令和7年3月28日 文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(第二期)(案)」に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果について 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(第二期)(案)」について、令和7年1月29日から令和7年2月28日までの期間、電子メール・郵便・ファックスを通じて、広く国民の皆様から御意見の募集を行いましたところ、合計43件の御意見をいただきました。 今回御意見をお寄せいただきました多くの方々の御協力に厚く御礼申し上げます。 いただいた御意見の概要及びそれに関する考え方は別紙のとおりです。なお、とりまとめの都合上、内容により適宜集約・分割させていただいております。貴重な御意見をお寄せいただき、厚く御礼申し上げます。 (別紙) 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(第二期)(案)」に関するパブリックコメントの結果について ※同内容の意見が複数ある場合は統合し、複数の観点が含まれる場合は分割し、掲載しています。 1(対象項目:T-1) 御意見の概要 「点字図書館」という語には長い歴史的な意味があり、身体障害者福祉法以外の他の法律の条文に多用され、深い存在意義があるが、注釈にも本文にも、この点字図書館の説明等が些少に留まり、計画案文としては非常にもったいない印象を受けるので、もっと説明文を記載していくべき。 御意見に関する考え方 点字図書館については、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第34条に「視覚障害者情報提供施設」として、位置づけられており、主に視覚障害者に対する支援機関としてこれまで重要な役割を担ってきたものと承知しています。 そのため、本基本計画において、点字図書館の定義等をあらためて記載しておりませんが、貴重な御意見として承ります。 2(対象項目:T-2) 御意見の概要 障害当事者の図書館職員が在籍しているなど、読書バリアフリーに熱心な自治体とそうでない自治体の取組に差が生じている。専門的人材の育成を含めて当事者職員の積極的な活用・育成を障害者雇用の観点からも検討してほしい。また、読書バリアフリー計画について、他の計画等の一部として作成している場合、構成員を含め専門的な議論ができていないおそれがあるので、専門的知識を持った人材で計画、見直し等ができているか確認が必要である。 御意見に関する考え方 いただいた御意見については、今後の施策検討の参考とさせていただきます。 3(対象項目:T-2) 御意見の概要 “高齢者”を対象とする読書環境整備の拡充を求める。そのためには、法的根拠が必要であり、読書バリアフリー法の対象者に“高齢者”を明示していただき、読書活動における様々な障壁を抱えた高齢者に対して、柔軟なアプローチを可能とするだけでなく、サピエ図書館を通じて、アクセシブルなデジタル図書が、読書に困難を抱える高齢者へ届き、高齢者施設で生活する高齢者は施設を通じて、個人宅で生活する高齢者は民生児童委員を通じて、読書資源を活用し、地域共生社会実現の一助になることを期待する。 御意見に関する考え方 本基本計画における対象者は、読書バリアフリー法第2条第1項において、「視覚障害、発達障害、肢体不自由その他の障害により、書籍について、視覚による表現の認識が困難な者」と定義されている視覚障害者等です。 そのため、視覚による表現の認識に困難のない高齢者までも対象としているものではないと認識していますが、基本計画X.に記載のとおり、高齢者をはじめとした、読書や図書館の利用に様々な障壁がある方がいることも認識しながら、施策の推進を図ってまいります。 4(対象項目:T-2) 御意見の概要 2条の読者の定義に、盲ろう者(視覚聴覚の重複障害者)を加えていただき、盲ろうの読者もこの法律の対象となるようにご配慮いただきたい。 御意見に関する考え方 盲ろう者については、読書バリアフリー法第2条第1項における「視覚障害」に含まれているものと認識しています。 5(対象項目:T-2) 御意見の概要 「視覚障害者等(=視覚障害、発達障害、肢体不自由等の障害により」とありますが、視覚障害等のなかには、目と耳の両方に障害があり、著しく情報入手や情報アクセスに困難を抱える盲ろう者もおり、「盲ろう者」も追記していただき、関係各所、社会に盲ろう者も含めて対応できるようにして欲しい。 御意見に関する考え方 いただいた御意見を踏まえ、基本計画T2.(4)について、「具体的には、視覚障害者(盲、弱視、盲ろう等)、読字に困難がある発達障害者…(中略)」と修正いたします。 6(対象項目:T-2) 御意見の概要 具体的に説明する部分で「視覚と聴覚に障害がある盲ろう者」も追記して、情報アクセスにより多くの困難を抱える盲ろう者にも配慮や支援が行き届くようにしっかり明記していただきたい。 「盲ろう者」はマイノリティの中のマイノリティであり社会になかなか認知されにくく、理解も進まないため、障害者権利条約にも「盲ろう」が明記されており、国連の障害者権利委員会からの総括所見でも勧告されていることから、盲ろうに関する記述もお願いしたい。 御意見に関する考え方 いただいた御意見を踏まえ、基本計画T2.(4)について、「具体的には、視覚障害者(盲、弱視、盲ろう等)、読字に困難がある発達障害者…(中略)」と修正いたします。 7(対象項目:T-3) 御意見の概要 本計画の中では、不十分な電子書店のサイトのアクセシビリティを改良することに直接の言及がなされていないように見受けられる。 御意見に関する考え方 基本計画V4.(1)に記載のとおり、国内電子書籍販売サイトのアクセシビリティについても環境整備を進めてまいります。 8(対象項目:T-3) 御意見の概要 「地域共生社会」ということばは「共生社会」に変更した方が良い。 「地域共生社会」とは、「ニッポン一億総活躍プラン」を受け、2017(平成29)年に厚生労働省が公表した「『地域共生社会』の実現に向けて」における政策目標として掲げられた言葉であり、性別や国籍、障害の有無といった異なりを持つ人々が身近にいて、当たり前に生活する「共生社会」とは異なる。 御意見に関する考え方 いただいた御意見を踏まえ、冒頭に「各地域の」と加えつつ、該当箇所を「共生社会」に修正いたします。 9(対象項目:T-3) 御意見の概要 注14 「視覚障害者等用情報総合ネットワーク」の「等用」の2文字が余分に入ってしまっているので「視覚障害者情報総合ネットワーク」へ修正願いたい。 御意見に関する考え方 一部、「等」が抜けているホームページもありますが、サピエ図書館の正式名称は「視覚障害者等情報総合ネットワーク」となっています。 10(対象項目:U-1) 御意見の概要 「アクセシブルな電子書籍等及びそれらを利用するためのシステムの標準化による相互接続性の確保を軸にしたアクセシブルな閲覧システムと端末機器等の整備と、それを視覚障害者等が円滑に利用するための技術習得支援が必要である。」について両者が相補的な関係にあると読めるような加筆をしていただきたい。 御意見に関する考え方 いただいた御意見を踏まえ、「アクセシブルな電子書籍等及びそれらを利用するためのシステムの標準化による相互接続性の確保を軸にしたアクセシブルな閲覧システムと端末機器等の整備と、それを視覚障害者等が円滑に利用するための技術習得支援を関連させつつ、推進することが必要である。」と修正いたします。 11(対象項目:U-1) 御意見の概要 アクセシブルな出版物は点字、マルチメディアデイジー、大活字本、布絵本等々、多様であり、現状それらの多くは、ボランティアや非営利団体によってつくられ、営利企業としての出版社の活動は稀なため、行政の支援が必要である。たとえば「アクセシブル図書」の認証制度を作り、基準を満たす図書には助成金が下りる等の仕組みを検討すべき。 「図書館等により制作・複製されるもの」については、ボランティア団体の高齢化や担い手不足も指摘されており、ここでも、出版社が営利企業として取り組める環境づくりが持続可能性のカギを握り、「出版社」「製作者」の接点づくりが望まれる。 御意見に関する考え方 基本計画V3.に記載のとおり、出版者から製作者に対する電磁的記録等の提供促進のための環境整備を行ってまいります。 12(対象項目:V-1) 御意見の概要 点字図書館においても、利用対象者を視覚障害者(手帳有や2級以上と限定するのを含む)だけでなく、その他の障害者も含めるべきである。点字図書館は視覚障害のみ受け入れればよい時代ではない。視覚障害者でなくても点字図書館は利用できるべきであるし、視覚障害者であっても公共図書館等は利用できるべきである。 御意見に関する考え方 基本計画V1.(2)に記載のとおり、点字図書館においても、地域の公立図書館等と連携しながら、視覚障害者以外の視覚による表現の認識が困難な者の利用を可能とするための受入れ環境の整備等の充実に努めるよう丁寧な周知を行ってまいります。 13(対象項目:V-1) 御意見の概要 公立図書館や学校図書館がアクセシブルな書籍等を積極的に購入できるよう、資料費の増額につながるような具体的方策を出していただきたい。 御意見に関する考え方 アクセシブルな書籍等の充実については、基本計画V1.(1)に記載されているところです。 なお、アクセシブルな書籍を含む図書の整備等に関しては、基本計画Xにおいて、「関連施策の実施に当たって、国は必要な財源の確保に努める」と記載しております。 14(対象項目:V-1) 御意見の概要 これまで行われてきた公共図書館による対面朗読室のサービスについて適切に評価していただきたい。 そもそも、本計画は、視覚障害者等の読書環境について、全体を通して電子媒体での議論に傾斜しすぎている傾向があり、その結果、これまで行われてきた公共図書館における障害者サービスが、ますます先細りするような記述となっている。 御意見に関する考え方 基本計画における当該部分につきましては、対面朗読室のサービスについて重要な役割を担ってきたものと承知しており、様々な整備事項を網羅する記述として引き続き計画に記載したものです。 15(対象項目:V-1) 御意見の概要 特別支援学校を中心に、将来にわたって読書ができるように、読書バリアフリーの取組をもっと普及させてほしい。特別支援学校の中には図書館の活用がままならないところもあり、GIGAと読書バリアフリーを合わせて指導できる体制づくりをお願いしたい。また、視覚特別支援学校にはボランティア団体をかかえる学校も多い一方、そういった団体がいない地方の学校もある。こういった地域差が学習資源の差、しいては学習環境の格差にもつながっている。今後ボランティアの高齢化等なり手の不足が予想される中、点字や録音、テキストデータ等アクセシブルな教材、図書の共有化が喫緊の課題である。 このような状況を変えるためにも、視覚特別支援学校図書館をつなぐ全国的なネットワークを組織化し、学校在籍生徒だけでなく地域で学ぶ方や地域で暮らす方々の読書支援体制につなげてほしい。 御意見に関する考え方 基本計画V2.に記載のとおり、インターネットにより視覚障害者等に提供する全国的なネットワークの運営に対する支援を行ってまいります。 16(対象項目:V-1) 御意見の概要 『学校における学校図書館を活用した支援を充実するため、設置者である各教育委員会等に対し、司書教諭・学校司書の配置の重要性について周知する』とあるところ、設備面について言及がないが、特に特別支援学校においては全国学校図書館協議会における『特別支援学校図書館の現状に関する調査』(2019年度調査)において、約10%の特別支援学校で学校図書館を設置していない旨回答しているなど、実態上学校図書館がない特別支援学校が生じている。文部科学省においても令和3年公布の「特別支援学校設置基準」第十五条で教室等と兼用しない形での図書室の設置を求めているが、本計画でも例えば「設備面においては、「特別支援学校設置基準」、「学校図書館図書標準」等の設置上の諸基準について周知する」といった形で改めて言及してはいかがか。 御意見に関する考え方 学校図書館法第3条において学校図書館は必置と定められているところです。 17(対象項目:V-1) 御意見の概要 アクセシブルな電子書籍の推進にあたり、幼少期からの活用を促進することが重要であると考える。特に、漫画は小・中・高校生にとって興味・関心を引く媒体の一つであるが、障害があることで読みにくさが生じやすいという課題があるため、「漫画でわかる・・・」といったシリーズの電子書籍化を進め、学校図書館へ配置することで、視覚障害者等の読書環境を整備し、読書の機会を拡充することが求められる。 また、GIGAスクール構想の実現に向け、学校において情報機器の整備が進んでいるが、学校図書館における電子書籍の活用事例はまだ限られているのが現状である。このような実態を踏まえると、GIGAスクール構想と並行して、学校図書館への電子書籍の導入を推進する必要がある。特に、導入されているタブレット端末に依存せず、Webブラウザ上で利用可能な電子書籍の充実が求められる。 前述の推進を図るためには、学校司書や職員の確保・充実が課題となるが、働き方改革の観点からも、同一の教員にこれらの業務を負担させることには限界がある。人材確保のため、図書館職員の期間限定派遣や、学校図書館と公立図書館との連携を強化することが不可欠であると考える。 御意見に関する考え方 基本計画V1.に記載のとおり、地域や機関等の実情を踏まえつつ、点字図書館及び公立図書館と学校図書館の連携を図り、視覚障害等のある児童生徒を支援するための取組を進めてまいります。 18(対象項目:V-1) 御意見の概要 第9条の学校における読書環境の保障に関し、学校図書館の貧困化を解消するため、十分な予算措置を講じるとともに、教員の負担を増やすことなく読書バリアフリーを推進できる体制整備を求める。 御意見に関する考え方 基本計画Xにおいて、「関連施策の実施に当たって、国は必要な財源の確保に努める」と記載しております。 19(対象項目:V-1) 御意見の概要 限られた予算と人材で効率的に読書バリアフリーを推進するため、まずは特定の自治体や図書館でモデル事業を実施し、その成果を全国に広げるのはいかがか。 御意見に関する考え方 文部科学省では、「読書バリアフリーコンソーシアム」事業を実施し、この事業を通じて関係行政組織・団体等が連携した読書バリアフリーコンソーシアムを設置し、物的・人的資源の共有をはじめとした様々な読書バリアフリー推進のための取組を行っております。 読書バリアフリーコンソーシアムにおいては、読書バリアフリー推進に関するグッドプラクティスを収集・分析し、ウェブサイト等で公開しております。 20(対象項目:V-1) 御意見の概要 教科書や補助教材のほとんどは電子化されているが、解答や解説、付属資料や指導者向けの手引書等はいまだデータになっておらず、アクセシブルな形で入手できないケースが多くあるため、視覚障害のある教育関係者の教材研究や授業準備が円滑に進むよう、文科省は適切な予算を確保していただきたい。また、データ提供の依頼に対し、視覚障害のある教員へのデータ提供は合理的配慮として行われるものであり、利益供与には当たらないことをすべての出版者に周知するとともに、要望があったときは障害当事者との間で建設的な対話を行うよう、文科省から指導していただきたい。 御意見に関する考え方 基本計画V1.に記載のとおり、学校教育段階での教科書以外の副読本等の多様な資料の充実を図ることや、視覚障害等のある教職員への支援についても留意するとともに、いただいた御意見については今後の施策検討の参考とさせていただきます。 21(対象項目:V-1) 御意見の概要 「公立図書館等において、視覚障害者等の図書館の利用や、視覚障害者等を含めて広く社会に読書バリアフリーの普及・啓発を進めるために、アクセシブルな書籍等について紹介するコーナーの設置を促進する。」とあるが、紹介するコーナーだけでは不十分で、大活字本やLLブックといった実際に手に取りやすいアクセシブルな書籍の充実を促進する必要がある。 そこで、厚労省の地域生活支援促進事業費補助金の1つである「地域における読書バリアフリー体制強化事業費補助金」を活用できると考えるが、そのような事例を紹介すべきである。公共図書館等については、地方交付税が一定措置されているが、多くの市町村では、一般の図書購入費も不十分であり、アクセシブルな書籍の充実を図るには同補助金の活用が望ましい。サピエ図書館の活用等がなくても、こうしたアクセシブルな書籍の充実を図るための取組が可能であることを通知してほしい。 御意見に関する考え方 図書購入費については、総務省から各自治体に財政措置される地方交付税の基準財政需要額に計上されているため、限られた財源の効率的な使用の観点から、厚生労働省で別途支援することは適正ではないと考えています。 22(対象項目:V-1) 御意見の概要 読書バリアフリーを推進するにあたって、実施主体の明確化を求める。 現在、図書館職員が障害者サービスを推進しようとしても、専門知識や人的リソースが不足しており、十分な対応ができていない。そのため、図書館職員の役割を明確にし、専門機関(点字図書館や支援団体)と連携する仕組みを構築すべき。 御意見に関する考え方 基本計画V1.(2)に記載のとおり、地域の公立図書館と点字図書館等との連携を図り、視覚障害者等に対するアクセシブルな書籍等の円滑な利用のための支援を引き続き行ってまいります。 23(対象項目:V-1) 御意見の概要 施策の方向性について、大学で使用する書籍のほとんどが、アクセシブルな書籍となっていないことから、大学等に在籍する学生へのアクセシブルな書籍の提供に関する推進と体制強化を行うべき。 御意見に関する考え方 基本計画V1.に記載のとおり、「公立図書館等」には大学及び高等専門学校の附属図書館も含まれ、利用者として学生等も想定されますので、いただいた御意見については、今後の施策検討の参考とさせていただきます。 24(対象項目:V-1) 御意見の概要 点字図書館と公共図書館との連携を推進するとあるが、責任と業務の内容分担が理解しづらい。 視覚障害者情報提供施設とは、点字図書や音声図書の貸出や製作を行う施設、ライトハウスの時代から100年の歴史を持つ活動を行い、福祉的観点が大きい。比べて、公共図書館の障害者サービスは50年ほどで、そもそも知る権利の自由と学ぶ権利の保障をもとに誰でも読書する権利があり、公共図書館は、視覚障害者の読書権ということばに触発されて、そのサービスを発展させてきた。障害者サービスは、そのままでは読むことができない。 福祉だけではない、社会教育の視点に立った敷居の低い図書館で、当たり前のように読む権利の行使ができるように、福祉と教育の垣根を越えた協力関係が、共生社会にふさわしいと考え、本計画に両者の機能分担及び考え方を明記してほしいと考える。 御意見に関する考え方 基本計画T3.に記載のとおり、点字図書館と公立図書館においては、視覚障害者等の情報保障の支えとして重要な役割を担っているものと承知しています。 そのため、点字図書館と公立図書館においては、各地域の状況に応じて連携・協力することが重要と考えていますので、御指摘の、両者の機能分担等に関する内容まで明記はしておりません。 25(対象項目:V-2) 御意見の概要 サピエ図書館やみなサーチの登録をしても、利用者が増えるわけではない。貸出するための方法や機器を整備しなければならない。読書バリアフリーサービスを公共図書館等で少しでも着実に取り組める支援を、積極的に促進する必要がある。 御意見に関する考え方 基本計画V6.に記載のとおり、パソコン、タブレット、スマートフォン等を用いた利用方法に関する相談及び習得支援、端末機器の貸出等による支援を推進してまいります。 26(対象項目:V-3) 御意見の概要 これから特定書籍・特定電子書籍の製作事業に参画しようとする個人または小規模団体が窓口としてどこに相談し、どこへ様々な支援要請をすれば良いのか、具体的な場所と方法を記述して欲しい。 また、相談から支援要請までをワンストップで実施できるような窓口あるいは施設を、地域ごとに設置して欲しいと考えます。 御意見に関する考え方 本基本計画は、読書バリアフリー法第7条第1項に基づき、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策等を定めることとしています。そのため、御指摘の内容は基本計画の記載になじまないものと考えていますが、いただいた御意見については今後の施策検討の参考とさせていただきます。 27(対象項目:V-4) 御意見の概要 テキストデータの書籍の発行を促す計画にしてほしい。電子書籍はコミック本を中心に出版が増加している。しかし、学習の目的によってはテキストデータでないと学習につながらないものもある。また購入や利用が簡単でないと多くの視覚障害者等の利益にはならない。 御意見に関する考え方 基本計画V4.(3)に記載する出版関係者との検討の場等を通じて検討してまいります。 28(対象項目:V-4) 御意見の概要 テキストデータの提供については、これまでほとんど進んでおらず、欧米で一部行われているような国による制度的保証が不可欠である。 御意見に関する考え方 基本計画V4.(3)に記載する出版関係者との検討の場等を通じて検討してまいります。 29(対象項目:V-4) 御意見の概要 「国内電子書籍販売サイトについて、書籍のアクセシビリティに関する情報を明示する等、検索時や購入時における書籍情報の案内等がアクセシブルなものとなるよう、環境整備を進める。」とあるものの、直接的にサイトのアクセシビリティには触れていないように考える。電子書店のウェブサイトのアクセシビリティについて環境整備を促すよう、本計画の中で明示的に言及するのが適切ではないか。 御意見に関する考え方 基本計画V4.(1)に記載のとおり、国内電子書籍販売サイトのアクセシビリティについても環境整備を進めてまいります。 30(対象項目:V-4) 御意見の概要 脚注23では「WCAG2.2、EPUB3.3、EPUB アクセシビリティ 1.1、ISO/IEC23078」とありますが、規格等の名称が正確ではないようです。「WCAG 2.2、EPUB 3.3、EPUB Accessibility 1.1、ISO/IEC 23078」が正しいと考える。 御意見に関する考え方 御意見を踏まえ、脚注23を修正いたします。 31(対象項目:V-4) 御意見の概要 近年、電子書籍の利用が拡大しているが、多くの電子書籍に搭載されている音声読み上げ機能は、聴覚障害を併せ持つ盲ろう者には利用できない。また、盲ろう者は点字でのコミュニケーションが主要な手段であるため、点字ディスプレイへの対応は必須である。上記の状況を踏まえ、以下の提案をする。 1. 電子書籍のアクセシビリティ基準の強化: 視覚障害者、聴覚障害者、盲ろう者など、様々な障害を持つ人々が利用できる電子書籍のアクセシビリティ基準を策定し、遵守を義務化すること。 2. 点字ディスプレイへの対応の推進: スクリーンリーダーで読み取った情報を点字ディスプレイに表示できる電子書籍の普及を促進すること。 3. 盲ろう者向け電子書籍リーダーの開発支援: 盲ろう者が快適に読書できる専用の電子書籍リーダーの開発を支援すること。 4. アクセシビリティに関する情報提供の強化: 電子書籍のアクセシビリティに関する情報を分かりやすく提供し、障害を持つ人々が利用しやすい電子書籍を選択できる環境を整備すること。 御意見に関する考え方 <1,2,4について> 基本計画U4.に記載のとおり、出版関係者との検討の場を設けて、電子書籍の点字対応を含む、アクセシブルな電子書籍等の出版に関する課題や具体的な方法について検討してまいります。 <3.について> 基本計画V7.に記載のとおり、新たなICT機器・サービスの研究開発を行う企業等に対し、最長3年を目処として助成を実施しており、提案の上、採択に至れば対応が可能です。 32(対象項目:V-4) 御意見の概要 第11条及び12条の電子書籍に、音声読み上げ機能に加えて、点字でも読書が可能になるよう、「スクリーンリーダー」の定義に「点字出力」を加えていただきたい。 御意見に関する考え方 基本計画T3.に記載のとおり、電子書店のビューワーのアクセシビリティの充実については課題として認識しておりますので、基本計画U4.に記載のとおり、出版関係者との検討の場を設けて、電子書籍の点字対応を含む、アクセシブルな電子書籍等の出版に関する課題や具体的な方法について検討してまいります。 33(対象項目:V-4) 御意見の概要 書店から出版社へ、購入障害者のことを簡便でスムーズに通知する仕組みの構築。当該原本書籍を購入した方が視覚障害者等の本人であることを「書籍購入該当者(仮称)」と位置付け、サポートいただけることを望む。 御意見に関する考え方 基本計画V4.(3)に記載する出版関係者との検討の場等を通じて検討してまいります。 34(対象項目:V-4) 御意見の概要 アクセシブルな電子書籍の刊行は、視覚障害者等の読書環境を抜本的に進展させる可能性を持っている。このことは基本計画案「2基本的な方針」でも明確に示されている。ところが、特にこの部分(第12条)の取り組みの進展が遅れていると言わざるを得ない。より、積極的、具体的な取り組みが求められる。 御意見に関する考え方 いただいた御意見を踏まえ、より一層が進展するよう関係各者と連携し、取り組んでまいります。 35(対象項目:V-6) 御意見の概要 地方自治体が行っている日常生活用具として助成を受けることができる点字図書の給付において、新聞・雑誌等の逐次刊行物についても地方自治体からの助成を受けられるよう読書バリアフリー法の条文で明文化していただきたい。 御意見に関する考え方 日常生活用具給付等事業において、給付する品目等の具体的な運用については、実施主体である各市町村がその地域の特性や利用者の状況を踏まえ、柔軟な形態で効果的な事業が実施できる仕組みとなっており、厚生労働省においては、告示にて用具の要件、用途のみを定めているところです。 なお、市町村が定める日常生活用具の品目等については、各市町村において当事者の意見やニーズを聴取するなど、地域の実情に即した、適切な品目等となるよう定期的な見直しに努めていただくよう引き続き、丁寧な周知を行ってまいります。 36(対象項目:V-8) 御意見の概要 読書バリアフリーとICT活用は切り離すことができない。しかし、障害のある方々へのICT活用、特に読書バリアフリーに関わるICT活用について指導できる人材が圧倒的に不足している。認定資格等をつくるなどして推進体制の中に義務付けてほしい。デジタル庁等と連携した取組に期待したい。 御意見に関する考え方 基本計画V6.に記載のとおり、地域のICTサポートセンター等と連携しながら、視覚障害者等が身近な地域で支援を受けられるよう人材養成の充実に努めてまいります。 37(対象項目:V-8) 御意見の概要 製作人材の育成について、特に音訳者の採用育成を強化すべき。採用に当たっては、若年者を積極的に勧誘することを検討すべき。声のボランティアをしたいというニーズは若年層に一定程度存在し、専門学校や大学、高校等にも採用の幅を広げるべきと考える。 なお、それに当たっては、無給ボランティアとするのではなく、国等による予算措置によりボランティアに妥当な報酬を支給するべき。 御意見に関する考え方 基本計画V8.(2)に記載のとおり、人材の確保は重要な課題と認識しており、ボランティアのみに頼ることのない製作環境の整備も含めて、様々な方策を検討してまいります。 38(対象項目:V-8) 御意見の概要 第17条の人材育成に関し、適切な予算を確保し、研修の充実を図ることを強く求める。読書バリアフリーの推進には図書館の障害者サービスを適切に提供できる人材の育成が不可欠だが、現状では障害者サービス担当を配置できていない図書館が多くある。 御意見に関する考え方 基本計画V8.に記載のとおり、アクセシブルな書籍等の利用のための支援を行う者への養成、資質向上に係る支援を引き続き行ってまいります。 39(対象項目:W) 御意見の概要 「りんごの棚」の図書館での設置率を高めるために指標にいれてほしい。 バリアフリー図書や読書機器に出会っての感動と影響は大きい。図書館での設置の位置づけがいる。 御意見に関する考え方 基本計画には、定期的に調査する代表的項目のみ指標として掲載しております。それ以外の項目については、関係者協議会で議論をしつつ、必要に応じて調査を実施する予定ですので、いただいた御意見も踏まえながら検討させていただきます。 40(対象項目:W) 御意見の概要 「IV 基本的施策に関する指標」箇所の第14条・第16条関係の指標として、「国によるICT技術開発支援の採択件数」が挙げられているが、開発支援の件数は指標にならないと思う。支援機器の開発では、約50%の開発が製品発売に至っていない。第15条の指標である「ICTサポートセンターの都道府県別設置状況」と関連して、図書館やICTサポートセンターにおける、端末機器等に関する情報の入手の支援の実施状況等を指標にする方が、まだ直接的な関係があるといえるのではないか。 御意見に関する考え方 今回、基本計画には、定期的に調査する代表的項目のみ指標として掲載することとしており、御指摘の指標については、基本計画V7.に記載されている「研究開発への支援」の進捗を図る指標として適切であると認識しております。 なお、御提案いただいた実施状況等も含め、基本計画に記載されていない項目についても、今後、関係者協議会で議論をしつつ、必要に応じて進捗状況等の調査等を実施する予定としています。 41(対象項目:W) 御意見の概要 新たに「W基本的施策に関する指標」という数値目標が設定されたことは評価できる。ただ、一部読書バリアフリーの進捗状況を確認するための基本的事項と思われるものが指標にないなどの課題もある。数値は定期的に調査が行われているものや、サイト等から容易に数字が出せるものはよいが、それ以外で必要なものをどう設定するかが今後の課題と考える。 御意見に関する考え方 いただいた御意見については、今後の指標に関する調査の参考とさせていただきます。 42(対象項目:W) 御意見の概要 第8条関係 地方公共団体(都道府県・指定都市・中核市)における読書バリアフリー計画の策定状況について、 1.既に策定した計画に基づく施策を展開中の公共団体への調査項目は、「計画実施以前と以降とでどのような変化があり、いかにして読書困難者への支援が行われ、具体的に図書館の障害者サービスがどう充実したか」といった、計画による環境変化の状況認識を尋ねる設問が有効。 2.計画策定に向けて検討中もしくは計画期間に入って1年未満で、指標に照らし計画による実効性の評価が難しい公共団体へは、「計画実施に当たり、具体的な取組をこれまでの情況からどのように向上させ改善充実しようと試みているのか」との、工夫に力点を置いた質的把握が望ましい。 一方、3.国の第二次計画の期間に入ってもなお「計画を策定する予定はない」との状況に留まる地方公共団体への調査には、「読書困難な状況に在る住民のニーズとその支援のあり方をどのように受け止め、その当事者のニーズをどう聴取し分析して実情を捉えているのか」と、問題認識の度合いとその問題への対処の可能性を共に探究する調査項目が求められると考える。 御意見に関する考え方 いただいた御意見については、今後の指標に関する調査の参考とさせていただきます。 43(対象項目:X) 御意見の概要 関係者協議会について、実質的に関係者へ幅広く直接意見聴取することにつながる一つの方法として、団体種や地域の別を超えた委員選出枠の弾力化や、地方公共団体の各審議会等で近年採用されている公募委員枠の新設など、運営の工夫にも取り組んでいただくことも、施策の進展には鍵となっていくと考える。 御意見に関する考え方 いただいた御意見については、今後の関係者協議会の運営の参考とさせていただきます。 44(対象項目:X) 御意見の概要 本計画の対象者として「外国人等」と書かれた箇所については、一市民・一住民の視点では、「外国にルーツを持つ方々」あるいは「外国人市民等」といった表現としていただくと、より実態に沿った対象者理解につながると考える。 御意見に関する考え方 当該箇所は、「読書や図書館の利用に様々な障壁がある人」の例示であり、御指摘の「外国にルーツを持つ方々」や「外国人市民等」も含まれるものと考えております。 45(対象項目:その他) 御意見の概要 法律ができて5年が経過しているが、読書バリアフリーが進んでいるとはいいがたい状況である。適切な予算措置を伴った施策の実施をお願いしたい。 御意見に関する考え方 いただいた御意見については、今後の施策検討の参考とさせていただきます。 46(対象項目:その他) 御意見の概要 これから高齢化社会にもなり、視力に問題がある割合が増えてくることも予想され、高齢者と若い世代の分断を起こす可能性も出てくる。そのためにも、様々なサービスで、ユニバーサルデザイン等の要点を踏まえ、それを重視する法律整備もお願いしたい。 御意見に関する考え方 いただいた御意見については、今後の施策検討の参考とさせていただきます。 47(対象項目:その他) 御意見の概要 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に賛成する。 御意見に関する考え方 引き続き関連施策を推進してまいります。 48(対象項目:その他) 御意見の概要 近年ではスマホなどの普及により、年齢や居住地に関係なくいろいろな情報や知識が簡単に得られるようになってきたが、現在は視覚障がい者にはなかなか情報を得る利便さに格差が生じていると思う。今回の計画が推進され、サービスの提供体制が強化されれば、視覚障がい者の方々の社会参加及び日常生活の利便に、大いに役に立つと思う。障がいの程度や発症年齢など個人差はあると思うが、きめ細かな支援策ができればいいと思う。 御意見に関する考え方 引き続き関連施策を推進してまいります。 49(対象項目:その他) 御意見の概要 読書バリアフリー基本計画に基づき、国や自治体が図書館の読書バリアフリー推進に必要な予算を確保することを求める。特に、障害者サービスの実施に必要な資料整備(点字図書、音声図書、LLブックなど)や、職員研修の充実、広報活動の強化に対して、安定的な財源を確保すべき。 現状では、図書館の障害者サービスの予算が限られており、現場での取り組みが進みにくい状況にあるため、各自治体の予算に、読書バリアフリー推進のための特別枠を設けることを求める。 図書館単独ではなく、福祉・教育分野の予算と連携することで、財源の確保を図るのはどうか。 御意見に関する考え方 基本計画Xにおいて、「関連施策の実施に当たって、国は必要な財源の確保に努める」と記載しております。 50(対象項目:その他) 御意見の概要 読書バリアフリー法及びその基本計画により、社会全体の読書バリアフリーに関する機運が高まり、多くの取り組みが行われるようになってきたことは大変よいことであり、引き続き、国、地方自治体、関係団体、市民による取組を推進していただきたい。 御意見に関する考え方 引き続き関連施策を推進してまいります。 51(対象項目:その他) 御意見の概要 ・PDF版の2ページの最下行から3行上「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」は「障害者差別解消法」のほうがよい。 ・19ページの最下行から4行上「あたって」は「当たって」のほうがよい。他の箇所の例と同様に。 ・11ページの最下行「わかりやすい」と、13ページの15行「分かりやすい」とは、どちらかに字句を揃えたほうがよい。 ・6ページの脚注12「著作権法」の法律番号を記載したほうがよい。 ・13ページの最下の2行の文頭のインデントの位置が不適当である。 御意見に関する考え方 御指摘を踏まえ修正いたします。 52(対象項目:その他) 御意見の概要 現在、日本国内の刑事施設に収容されている被収容者は、施設の特性上、図書館があっても利用できない状況にある。自身で書籍を購入しようとしても、情報が限られているため、書籍を購入するのが大変困難。この状況を改善すべく、書籍情報誌を届ける活動を開始しており、刑務所等に相談をしたが、刑務所運営上、難しいとのことだったのでここにお送りする。 御意見に関する考え方 いただいた御意見については、今後の参考とさせていただきます。 (以上)