p1 「障害者差別解消法福祉事業者向けガイドライン〜福祉分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針〜」の改正案に関する意見募集の結果について 令和6年3月29日 厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部企画課 「障害者差別解消法福祉事業者向けガイドライン〜福祉分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針〜」の改正案について、令和6年2月19日(月)から同年3月19日(火)まで御意見を募集したところ、計138件の御意見をいただきました。 お寄せいただいた御意見の要旨とそれに対する考え方について、以下のとおり取りまとめましたので、公表いたします。 取りまとめの都合上、いただいた御意見は、適宜要約しております。また、パブリックコメントの対象となる事項についてのみ考え方を示させていただきます。 皆様の御協力に深く御礼申し上げるとともに、今後とも厚生労働行政の推進に御協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。 なお、上記のとおり計138件の御意見をいただいたところですが、いただいたご意見の中には同内容又は類似のご意見も含まれること、令和6年4月1日からの円滑な施行に向け速やかに本ガイドラインを改正する必要があること等を踏まえ、本日3月29日付けで本ガイドラインを改正することといたしました。 p2 全体に対する御意見について No.1 案に対する御意見の要旨 人権を親切や思いやりと解釈し安易に差別に走る人への意識変容となるよう、わかりやすい例示と理解の浸透を促す周知を求めます。 御意見に対する厚生労働省の考え方 今回の改正に当たっては、事業者が法の趣旨の理解を深め、個別具体的な場面で合理的配慮の提供を行うことができるよう、具体的な事例を追加する等、できる限り分かりやすいものとしました。 「第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方」について No.2 案に対する御意見の要旨 【(2)合理的配慮 @合理的配慮の基本的な考え方 <合理的配慮とは>】 「法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、事業者に対し、 (略) 必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)をしなければなりません。」の「しなければなりません」は、「法は」の述語として不適当である。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ修正しました。 No.3 案に対する御意見の要旨 【(2)合理的配慮 @合理的配慮の基本的な考え方 <合理的配慮とは>】 「これまで事業者による合理的配慮の提供は努力義務とされていましたが、令和3年の改正法により、法的義務へと改められました。」の「令和3年の」は削除したほうがよい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ修正しました。 No.4 案に対する御意見の要旨 【(2)合理的配慮 @合理的配慮の基本的な考え方 <合理的配慮とは>】 「合理的配慮は、事業者の事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要があります。」の「同等の機会」の正しい理解をいただくために、補足説明するのがよい。 理由は、この「同等」が「同じ条件」と誤解されることが多いため。障害を前提とした場合の、「同等の条件」と「同等の機会」の違いの説明が必要と考える。 御意見に対する厚生労働省の考え方 合理的配慮の趣旨等について、より具体的に御理解いただけるよう、「第3 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の例」等に、できる限り具体的な事例を盛り込みました。 p3 「第3 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の例」について No.5 案に対する御意見の要旨 【(1)正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例】 障害者基本計画(第5次)に「障害福祉サービスの提供に当たっては、利用者の意向を踏まえ、本人の意思に反した異性介助が行われることがないよう取組を進める。」が新設された。福祉分野の現場にかかわることなので、この記述を、本ガイドラインの本文にも加えられたい。具体的に理解が進むように、記述に関連する事例も、不可欠である。 記述案: 「障害福祉サービスの提供に当たっては、利用者の意向を踏まえ、本人の意思に反した異性介助が行われることがないよう取組を進める。」 事例案: (事例)入所している施設で日常的に異性介助が行われている。女性の入浴や排泄や夜勤時の介助は女性の従事者にして欲しいと希望を出しても、対応されなかった。男性従事者の介助を受けることを了承しなければ介助をしないと言われた。 (事例)ガイドヘルパー予約の際に「買い物のガイドだから男性のガイドヘルパーでもいいですか?」と対応されがち。女性として同性のガイドヘルパーを希望する。“排泄や入浴などの介助ではないから男性でもいいでしょう”という見方から転換して、合理的配慮として認識してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方  障害福祉サービス事業所等の設置者は、障害者総合支援法において、障害者等の意思決定の支援に配慮するとともに、障害者等の人格を尊重する責務が規定されています。 また、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定において、排泄介助や入浴介助等を提供することが想定される各障害福祉サービス事業者の指定基準の解釈通知において、「本人の意思に反する異性介助がなされないよう、サービス管理責任者等がサービス提供に関する本人の意向を把握するとともに、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保に努めるべき」旨明記することとしています。 本年3月の障害保健福祉関係主管課長会議においても、本人の意思に反する異性介助がなされないよう、サービス管理責任者等がサービス提供に関する本人の意向を把握するとともに、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保に努めるべき旨の周知を行ったところです。 p4〜6 Np.6 案に対する御意見の要旨 【(1)正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例】 「〇サービスの利用・提供に当たって、他の者とは異なる取扱いをすること」の項目に「わずらわしそうな態度や、本人や家族等を傷つけるような言葉をかけること」を追加してほしい。 本案に掲載している事案はあくまでも一例であり、個別の事案ごとに判断することが必要である旨記載していますが、障害者に対する接遇時の態度について、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例として、本案において「障害者本人の尊厳を軽視して、見下したような言葉遣いや幼児を相手にするような言葉で接すること」を追加しています。 御意見に対する厚生労働省の考え方 本案に掲載している事案はあくまでも一例であり、個別の事案ごとに判断することが必要である旨記載していますが、障害者に対する接遇時の態度について、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例として、本案において「障害者本人の尊厳を軽視して、見下したような言葉遣いや幼児を相手にするような言葉で接すること」を追加しています。 No.7 案に対する御意見の要旨 【(2)正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例、(5)合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例】 (意見の趣旨) @本改正案に新設されている「(2)正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例」は全て削除すべきである。 A「(5)合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例」を挙げる場合は、拡大解釈されないように十分注意した上で慎重に行うべきである。 (意見の理由) @対応指針においては、正当化事由の具体例を示すべきでない。なぜなら、差別的取扱いの事例は合理的配慮の提供により、区別、排除又は制限等を回避でき、合理的配慮の不提供の問題に集約される場合がほとんどであり、正当化事由の適切な具体例が見当たらないこと、また、正当化事由に当たるか否かは事案ごとに異なり、その多様性が大きいにもかかわらず、正当化事由に当たる具体例を挙げてしまうと、そのような場合は一律に正当化事由に当たるとの誤解や拡大解釈を招き、障がいのある人の権利保障が後退しかねないからである(2015年7月16日付け当連合会「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律のガイドラインについての意見書」8頁及び2023年1月12日付け当連合会「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(改定案)に対する意見」を参照。)。  詳解するに、「正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例」の一つ目として本改正案に示されている、「車椅子の利用者が畳敷きの個室の利用を希望した際に、敷物を敷く等、畳を保護するための対応を行うこと。」という例は、「敷物を敷く」ことが差別的取扱いに当たらないと整理するのではなく、「敷物を敷く」ことを一例とする合理的配慮を提供することにより障害者も個室を利用することができる例として挙げるのが適切であり、「正当な理由がある」例として挙げるべきではない。  二つ目の、「手続きを行うため、障害者本人に同行した者が代筆しようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況や本人の手続の意思等を確認すること。」という例は、本人の意向確認と合理的配慮の提供の必要性という異なる問題が混在しており、読み手に問題の所在を混乱させる恐れがある。同行者が代筆しようとした際に本人の手続の意思等を確認することは、本人の意思確認であり、そもそも差別的取扱いが問題となる場面ではない。また、「プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況」を確認することについては、「障害の状況等を確認する」ことが差別的取扱いに当たらないと整理するのではなく、「障害の状況等を確認」し合理的配慮を提供することが適当な例として挙げるのが適切であり、「正当な理由がある」例として列挙するのは不適切である。  以上のとおり、本改正案で挙げられている「不当な差別的取扱いに該当しない」と考えられる事例は、いずれも提示事例として不適切である。 A「合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例」を挙げる場合は、拡大解釈されないよう十分注意した上で慎重に行うべきである。  この点、本改正案において「合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例として挙げられている「事業者において、事業の一環として行っていない業務の提供を求められた場合に、その提供を断ること。」は、「事業の一環として行ってない業務」の内容が不明確であり、そのため、本来、合理的配慮がなされるべきであるにもかかわらず、「事業の一環として行っていない業務」であるなどとして合理的配慮が提供されない事態を招きかねない表現である。誤解や拡大解釈につながる危険性が極めて高く、不適切であって、例として挙げるべきではない。  さらに、合理的配慮の提供義務に反しない例を挙げる場合は、このように影響が大きい対応指針に記載するのではなく、より具体的な内容を記載することで、事例を十分精査でき、判断要素や判断過程を書き込むことのできるマニュアル等に記載するべきである。 【(3)合理的配慮に該当すると考えられる例】 「〇物理的環境への配慮」の項目に「パーティションやついたてを置くなどの配慮をすること」を追加してほしい。 【(3)合理的配慮に該当すると考えられる例】 「〇情報提供・サービスの提供」のうち、「<情報提供・利用手続きについての配慮や工夫>」や<職員などとのコミュニケーションや情報のやりとり、サービス提供についての配慮や工夫>に「ピクトグラムの活用や大きなポイント(字の大きさ)で文書を作成するなど」を追加してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方  御指摘の例示は基本方針に基づき記載したものであり、いずれも原案のとおりといたします。 なお、本ガイドラインに掲載されている事案はあくまでも例示であり、個別の事案ごとに判断することが必要である旨記載しています。 No.8 案に対する御意見の要旨 【(3)合理的配慮に該当すると考えられる例】 「〇物理的環境への配慮」の項目に「パーティションやついたてを置くなどの配慮をすること」を追加してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 本案に掲載している事案はあくまでも一例であり、個別の事案ごとに判断することが必要である旨記載していますが、同様の例として「パニック等を起こした際に静かに休憩できる場所を設けること」を挙げています。 p7 No.9 案に対する御意見の要旨 【(3)合理的配慮に該当すると考えられる例】 「〇情報提供・サービスの提供」のうち、「<情報提供・利用手続きについての配慮や工夫>」や<職員などとのコミュニケーションや情報のやりとり、サービス提供についての配慮や工夫>に「ピクトグラムの活用や大きなポイント(字の大きさ)で文書を作成するなど」を追加してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 本案に掲載している事案はあくまでも一例であり、個別の事案ごとに判断することが必要である旨記載していますが、同様の例として同項目中に、「・説明文書の点字版、拡大文字版、テキストデータ、音声データ(コード化したものを含む)の提供や必要に応じて代読・代筆を行うこと」及び「・手話、要約筆記、筆談、図解、ふりがな付文書を使用するなど、本人が希望する方法で分かりやすい説明を行うこと」を挙げています。 No.10 案に対する御意見の要旨 【(4)合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例】「〇電話利用が困難な障害者から電話以外の手段により各種手続が行えるよう対応を求められた場合に、自社マニュアル上、当該手続は利用者本人による電話のみで手続可能とすることとされていることを理由として、メールや電話リレーサービスを介した電 話等の代替措置を検討せずに対応を断ること」の「メール」は「電子メール」のほうがよい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ修正しました。 No.11 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 重症心身障害・その他医療的ケアが必要な者 〔主な特性〕 ・自分で体を動かすことが困難な重度の肢体不自由と、年齢に相応した知的発達がみられない重度の知的障害が重複している場合がある ・ほとんど寝たままで自力では起き上がれない状態が多く、特殊型車いすを使用 ・移動、食事、着替え、洗面、トイレ、入浴などが自力ではできないため、日常の様々 な場面で介助者による援助が必要(紙オムツをしていることが多い) ・常に医学的管理下でなければ、呼吸することも栄養を摂ることも困難な人もいる ・鼻に留置した管や胃ろう等から医療用ミルクやミキサー食を注入する人がいる ・通常の食事が摂れない場合には、食事の形態を変える等の特別な配慮が必要 ・重度の肢体不自由や重度の知的障害はないが、人工呼吸器を装着するなど医療的ケア が必要な人もいる ・言葉でのコミュニケーションが困難な人が多い 〔主な対応〕 ・人工呼吸器などを装着して大型の車椅子で移動する人もいるため、電車やエレベーターの乗降時等において、周囲の人が本人または介助者に声をかけ、何を手伝えばよいか聞くなどの配慮が必要 ・体温調整がうまくできないことも多いので、急な温度変化を避け、本人または介助者と対話し対応可能な配慮を行う ・医療的ケアの内容によっては、プライバシーへの配慮が必要 ・医療機器や器具の衛生面での配慮が必要 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ修正しました。 p8 No.12 案に対する御意見の要旨 【(6)障害特性に応じた対応について】 発達障害のうち最新の障害名に対応していない表記が散見する。 おそらく発達障害者支援法に則り表記されているためであろうと推測できるが、国際分類基準であるICD-11(平成30年公表)に対応していく必要があるのではないか。 以下にICD-11に対応した表記を記す。 自閉症、アスペルガー症候群を含む広汎性発達障害 ⇒(ICD-11)自閉スペクトラム症 学習障害(P26) ⇒(ICD-11)発達性学習症 注意欠陥多動性障害(注意欠如・多動性障害) ⇒(ICD-11)注意欠如多動症 尚、知的障害はICD-11では「知的発達症」と分類されている。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御指摘の箇所は、発達障害者支援法の規定に合わせた表記としています。 p9 「第4 事業者における相談体制の整備」について No.13 案に対する御意見の要旨 基本方針には「各種啓発活動や研修等の実施に当たっては、障害のある女性は、障害があることに加えて女性であることにより合理的配慮の提供を申し出る場面等において機会が均等に得られなかったり、不当な差別的取扱いを受けやすかったりする場合があるといった意見があること(中略)についても理解を促す必要があることに留意する。」と定められた。今後の対応指針には、この一文に対応した事例が必要である。それにもかかわらず、本ガイドライン案には、対応関係を読み取れる事例がない。障害のある女性に関してどのようなことが差別にあたるか、どのようなことが望ましい取り組みで、合理的配慮を提供することになるか等について、本ガイドライン案では示せていないため、事例を追加すべきである。  また、「例えば女性の相談員を配置することも考えられます」という記述がありこれ自体は必要なことだが、相談員が女性の場合も、障害のある女性が被っている差別について研修が必要である。例えば内閣府や金融庁、文科省、国土交通省等の対応指針の「事業者における相談体制の整備」の項目には、「相談時には、性別、年齢、状態等に配慮するとともに」といった記述があり、相談および職員啓発研修の前提ともなる重要な記述だが、本ガイドライン案には見られないため、記述を加えることが必要である。 記述案: 「事業者における相談体制の整備」の項に、「相談時には、性別、年齢、状態等に配慮するとともに」という記述を加える。 事例案: (事例)障害がなかったころは積極的に産むように言われていた。障害をもつようになってから妊娠したときには中絶を勧められた。 (事例)福祉施設の利用者が妊娠していたにもかかわらず、施設の従事者がそれにまったく気づかなかった。障害のある女性が嬰児遺棄の罪に問われる事態となってしまった。 (事例)相談にたずさわる担当者の研修に、毎回、「障害のある女性と複合差別」を設けて、それぞれ障害の異なる複数の女性を講師として招き、全員で意見交換を行っている。 (事例)性的被害について届け出たが、目が見えないのに加害者についてわかるはずがない、知的障害があるから確かな話ではない、などの見方をされ、自分の話を信じてもらえなかったことがある。 御意見に対する厚生労働省の考え方 本ガイドラインでは、現行版においても「第4 事業者における相談体制の整備」において、「また、相談等に対応する際には、障害者の性別・年齢・状態等に配慮することが重要です。」と記載しており、相談者の様々な状況に応じて対応できるよう相談体制を整備することの重要性をお示ししています。 p10 「おわりに」について No.14 案に対する御意見の要旨 「障害者差別解消法の理念を実現していくには、国民一人ひとりの障害に対する理解と適切な配慮が不可欠であり、差別と解される事例についても、お互いの意思疎通不足や理解の不足が起因していると思われることも見受けられます。法に定められたから義務としてやるという姿勢ではなく、事業者や障害者が歩み寄り理解を深めていくことが、差別解消の第一歩につながると考えられます。」の「障害者差別解消法」は「法」のほうがよい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 御意見を踏まえ修正しました。 p11〜13 No.15 案に対する御意見の要旨 障害者への差別の解消について、事例などを提示しながら丁寧に整理してあると思います。 だからこそ最後の「おわりに」の箇所には「障害者差別は人権侵害である」旨をきちんと表記してほしいです。 御意見に対する厚生労働省の考え方 本案に賛同の御意見ありがとうございます。 また、御指摘の趣旨については、「第1 趣旨」や「第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方」においても、盛り込んでいるところです。 化学物質過敏症等に関する御意見について No.16 案に対する御意見の要旨 化学物質過敏症患者が障害者差別解消法上の「障害者」に該当することをガイドライン上で明記してほしい。 御意見に対する厚生労働省の考え方 障害者の定義については、障害者基本法をはじめ、障害者差別解消法や基本方針に基づき記載しているため、原案のとおりとさせていただきます。 なお、化学物質過敏症についても、それを原因とする心身の機能の障害が生じており、かつ、当該障害及び社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあると認められる場合は、障害者差別解消法で定める障害者の対象になり得ると考えられます。 No.17 案に対する御意見の要旨 障害者差別解消法の対象となり得る、化学物質過敏症患者への合理的配慮等に関する対応例や、障害特性の項において化学物質過敏症の主な特性及び主な対応を記載してほしい。 また、化学物質過敏症患者や香害で具合が悪くなる障害を持った人に合理的配慮をするよう義務付けてほしい。 具体的には次に掲げる事項を掲載・配慮していただきたい。 ・福祉従事者は、洗剤・柔軟剤等無香料(抗菌・消臭成分等も含めて)とすること ・香料マイクロカプセル等を使用した高機能合成洗剤や柔軟剤、衣類の香りづけビーズ、抗菌消臭剤成分をまとわないで対応すること ・個人宅へ訪問する事業者に対しても、企業側が香料や化学物質への配慮を行い、原則合成人工香料を含む洗剤および抗菌除菌消臭成分を含む洗剤等の使用を原則禁止すること ・施設内(トイレを含む)で使用する日用品の無香料化及び介護ヘルパー、スタッフその他、洗濯に使う合成洗剤、柔軟剤を無香料にすること ・公共の場所では、禁煙と同様に、無香料での対応が可能なスペースと人員を確保すること(トイレに置くハンドソープの無香料化、芳香剤をなくす、消臭・抗菌効果のあるスプレーを使用しないこと、無香料の席、部屋等を準備する等) ・空気中に香料や抗菌消臭成分などの化学物質というバリアがなくなるよう、フレグランスフリー、ケミカルフリー化などの「環境整備」を行うこと。 ・施設内の換気を十分に行うこと。 ・必要に応じて、他の福祉サービス利用者等と場所を分ける等配慮すること ・福祉サービス利用者へ、化学物質による被害について周知すること ・施設の利用者に無香料を呼びかけること ・事業所の受付など目立つ場所に、5省庁(消費者庁/文部科学省/厚生労働省/経済産業省/環境省)で作成した香害啓発ポスターを掲示することを義務付け、政府から香害による障害者差別をなくすための情報提供をすること ・施設内の消毒等(敷地内の農薬散布を含む)を実施する際及び実施した際には、実施日時及び撒布薬剤についてwebや施設内のポスター掲示等により公表すること、または障害者等から問い合わせがあった際には情報提供を行うこと ・喫煙者のスタッフが直接治療等を行うといわゆるサードハンドスモークに強く反応することがあるため、スタッフは非喫煙者が対応し、香害に置いても十分注意すること 御意見に対する厚生労働省の考え方 介護保険サービス及び障害福祉サービスの事業者の指定基準において、訪問系サービス等の指定事業者は、正当な理由がなく、サービスの提供を拒んではならないと定められており、これは化学物質過敏症のある利用者への対応にも該当します。 このため、こうした指定基準の考え方について、事業者に周知を図ることが適切と考えており、障害福祉サービスについては、本年3月の障害保健福祉関係主管課長会議においても、障害福祉サービスの指定基準に基づき、訪問系サービス等の指定事業者は、正当な理由がなく、サービスの提供を拒んではならず、これは、化学物質過敏症のある利用者への対応にも該当する旨の周知を行ったところです。 なお、柔軟剤などの香りで頭痛や吐き気がするという相談が消費生活センター等にあることを踏まえ、現在、消費者庁において厚生労働省を含む関係省庁と協力のもと啓発ポスターを作成し、周知啓発を図っております。 引き続き、福祉事業者に対し、周知を図ってまいります。 ※上記のほか、16件の今回の意見募集に関係ない御意見をいただきました。