p1   内閣官房における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領(改正案)に関する意見募集の結果について    令和5年11月  内閣官房内閣総務官室  標記について、令和5年7月7日から同年8月5日までの間、広く国民の皆様から御意見を募集したところ、6件の御意見を頂きました。頂いた御意見及び御意見に対する考え方を取りまとめましたので、次のとおり報告いたします。  本要領については、頂いた御意見を考慮した上、一部形式的な修正を行い、別添のとおりとなっております(令和5年11月8日決定 令和6年4月1日施行)。  番号1 御意見 第5条に関するコメント:<信用失墜行為、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行>という表現は適切であると感じますが、なぜ<職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合等>へと変更されたのか、その理由については明確な説明が欠けていると感じます。また、<職務上の義務に違反し、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行>という文言に修正することで、より具体的で明確な基準を設けることができると考えます。  御意見に対する考え方 国家公務員法(昭和22年法律第120号。以下「国公法」といいます。)第82条第1項各号において懲戒処分となる事由を掲げており、同項第2号において「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」を掲げています。御指摘の記載については、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」といいます。)の規定に基づき、行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者に対する不当な差別的取扱いが禁止され、障害者に対する合理的配慮の提供が義務付けられていることを踏まえ、同号に即して修正することとしたものであり、原案のとおりとさせていただきます。  番号2  御意見 第1条「(以下「対応要領」という。)」は削除したほうがよい。12  御意見に対する考え方 パブリックコメントで頂いた御意見を踏まえて、第7条第1項 p2  御意見 ページの改正前欄の最下行の4行上「対応要領」は削除されているから。  御意見に対する考え方 に「対応要領」の字句が追加されることから、原案のとおりとさせていただきます。  番号3  御意見 第7条第1項「法や基本方針等」の「等」は、法、基本方針以外の何が含まれるのか?  御意見に対する考え方 本対応要領が含まれます。御意見を踏まえ、「法や基本方針、対応要領」に修正します。  番号4  御意見 第7条第1項「障害者」について:障害者だけでなくその家族その他の関係者も対象とするほうがよい。  御意見に対する考え方 御指摘の記載は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(令和5年3月14日閣議決定。以下「基本方針」といいます。)の記載に即したものであり、原案のとおりとさせていただきますが、頂いた御意見は今後の参考とさせていただきます。  番号5  御意見 第7条第2項「性別や年齢等」の「等」は、性別、年齢以外の何が含まれるのか?  御意見に対する考え方 障害の種類や状態が含まれます。  番号6  御意見 第7条第2項「性別や年齢等」は、「職員の性別や年齢等」と解釈してよろしいか?  御意見に対する考え方 障害者の性別や年齢等を指します。  番号7  御意見 意見の対象となる箇所:教育・研修・啓発 意見:次の記述を加える。かつ、具体的に伝えるために、下記のいずれかの事例を加える。 記述「包括的性教育の実施に取り組む。」 (事例)特別支援学校で「虹の輪」という言葉で、他人と距離をとるように指導された。 (事例)教員に服を脱ぐようにいわれ、教員の言うことなので従うしかなく、性行為の直前で他者に発見された。本人(障害のある女生徒)はおかしい、いやだと思ってはいたが、教員にいわれたことは従うように教えられてきたため、抵抗したり、助けを求  御意見に対する考え方 本対応要領は、法第7条に規定する事項に関して定められるものであることから、原案のとおりとさせていただきますが、頂いた御意見は今後の参考とさせていただきます。 p3 番号7  御意見 める声をあげたりすることはできなかった。 (事例)妊娠を望んでいなかったが、交際相手が避妊をせず、性行為をした。そのことに対して「抵抗もせず、何も言わなかった」ため、同意しているとみなされ、妊娠を回避できなかった。 (事例)妊娠の自覚があったが、医療機関に行って受診することができず、周囲に相談することもできなかった。 (意見の理由と補足) 包括的性教育とは、「身体の話だけでなく、社会的な規範の是非、差別や暴力、ジェンダーの不平等をなくす方法、性を安全に楽しむ権利、リスクに直面した時にアクセスできる期間など、幅広いテーマを包括的に扱う(渡辺大輔 2022 T-Navi Edu Vol.12 光文書院から引用)」。包括的性教育では、YESやNOを自分の気持ちや考えに基づいてはっきり表明することが大切だと教えられる。包括的性教育は誰にとっても重要だが日本の公教育は実施していない。妊娠中絶薬はようやく合法化に向かっているがアフターピルが手に入りにくいなど、女性の性と生殖に関する権利を守る体制が脆弱である。 特に障害のある人は、いやなことでも我慢し、教員などには従うように教育される中で、自分の意見を表明することは間違いだと学習する。身体と性と生殖の具体的な知識、交際と性的関係の合意・産むかどうかは自分で決めてよいことを、わかりやすい言葉で繰り返し学ぶ機会が提供されていない。医療を含む相談や必要な手続きはアクセスしにくいもので、支援やサービスを得るための情報や子育て経験例などの紹介も p4 番号7  御意見 乏しい。その結果、事例のように意見表明の権利や身体の自由の権利も侵害されることがあるが、それに気づくことも困難な状況におかれている。障害者権利委員会からも勧告(54e)を受けている。取り組むことの記述と、実行が必要である。  番号8   御意見 意見の対象となる箇所:相談および研修・啓発 意見:次の記述と、事例のいずれか(課題を示す事例および好事例)を加える。 記述「女性からの相談は女性が受ける窓口態勢をとる。」「女性の接遇は女性がすることを基本とする。」「従事者の研修において、障害に加えて女性であることによる経験や課題について当事者から学ぶことを、必修プログラムに組み入れて実施し、業務や啓発に反映する。」 (事例)月経時のことについて相談窓口に詳しく話さなければならない場面があって、担当者は男性ばかりだったので話しづらかった。 (事例)女性に対する暴力の相談にたずさわる担当者の研修に、毎回、「障害のある女性と複合差別」を設けて、それぞれ障害の異なる複数の女性を講師として招き、全員で意見交換を行っている。 (事例)災害の防止や救援にかかわる担当者の必修研修に、災害時の障害のある女性ゆえの経験をテーマに、地元で課題に取り組んでいる障害のある女性を講師に招き、意見交換し、業務に反映させている。  御意見に対する考え方 本対応要領の別紙「内閣官房における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領に係る留意事項」(以下「別紙」といいます。)の「第4 合理的配慮の基本的考え方」において、障害者本人の意向を尊重しつつ、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされる必要があるとしています。また、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとし、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意することとしています。頂いた御意見については、今後の参考とさせていただきます。 p5 番号8  御意見 (事例)ガイドヘルパー予約の際に「買い物のガイドだから男性のガイドヘルパーでもいいですか?」と対応されがち。女性として同性のガイドヘルパーを希望する。“排泄や入浴などの介助ではないから男性でもいいでしょう”という見方から転換して、合理的配慮として認識してほしい。 (意見の理由と補足) 改定障害者差別解消法基本方針には「各種啓発活動や研修等の実施に当たっては、障害のある女性は、障害があることに加えて女性であることにより合理的配慮の提供を申し出る場面等において機会が均等に得られなかったり、不当な差別的取扱いを受けやすかったりする場合があるといった意見があること(中略)についても理解を促す必要があることに留意する。」と定められた。今後の対応要領にはこの一文をふまえた記述が必要である。接遇できる人が男性しかいないという理由で、外出先で公共交通機関などでのガイドヘルプを拒否あるいは放棄される経験をした、障害のある女性が複数いる。もし対応できる女性がいない場合には、今どうしたらよいか、本人の希望と意見を聞いたうえで、その時にできうるかぎりの合理的配慮の提供がされることが必要である。相談においても、本人の希望と意見、緊急性重大性をふまえたうえで、場合によって女性が対応できる日時に相談を設定するなど、あらゆる可能性を念頭においていただきたい。  番号9  御意見 P7の《手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも》の後に《就職検査における、コミュニケーションのコンピテ  御意見に対する考え方 御指摘の記載は、基本方針に即した記載であり、原案のとおりとさせていただきますが、頂いた御意見は今後の参考とさせて p6  番号9  御意見 ンシーを測る能力検査を課すといった不当な差別的取り扱いも、保険の契約を断るといった不当な差別的な取り扱いも》を追加してください。  御意見に対する考え方 いただきます。  番号10   御意見 別紙第4の2「性別、年齢、状態等」の「等」には、性別、年齢、状態以外の何が含まれるのか?  御意見に対する考え方 障害の種類などが含まれます。  番号11   御意見 別紙第4の2「性別、年齢、状態」は「性別、年齢及び状態」のほうがよい。2ページの6行目の例と同様に。  御意見に対する考え方 一般的な公用文の記載方法を踏まえて、原案のとおりとさせていただきます。  番号12  御意見 別紙第4の2「(障害のある)女性」は、女性を自認する者は含まれるのか?  御意見に対する考え方 本対応要領において、女性を自認する障害者が「障害のある女性」に含まれるかどうかについては、個々の事例に応じて判断されるものと考えております。  番号13  御意見 別紙第4の2「障害がある女性」は、障害者でない女性(障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にない者)も含まれうるのか?  御意見に対する考え方 「障害のある女性」には、「障害者でない女性」は含まれません。  番号14  御意見 別紙第4の2「女性であることも踏まえた対応」は、どのような対応を想定しているのか?  御意見に対する考え方 別紙「第6 合理的配慮の例」において、「女性であることも踏まえた対応」の一例として、「視覚障害のある者からトイレの個室を案内するよう求めがあった場合に、求めに応じてトイレの個室を案内する。その際、同性の職員がいる場合は、障害者本人の希望に応じて同性の職員が案内する」例を記載しています。  番号15   御意見 別紙第4の2《し、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意する。》の《女性》のところを《女性、トランスジェンダーやノンバイナリーをはじめとした性的マイノリティ》、と変更して、更に  御意見に対する考え方 御指摘の記載は、基本方針の記載に即したものであり、原案のとおりとさせていただきますが、頂いた御意見は今後の参考とさせていただきます。 p7  番号15  御意見 《また、障害のある多様なルーツの、民族マイノリティに対しても、障害に加え多様なルーツの、民族マイノリティであることも踏まえた対応が求められることに留意する。さらに、障害児と成人した障害者の間の支援の年齢差別もといエイジズム、特に発達障害者の服薬や教育のアクセスビリティに関する成人障害者への不当な差別がないようにする》と加筆してください。発達障害者の服薬や教育の年齢差別と、障害のある性的マイノリティや民族マイノリティへ複合差別な文面を盛り込んだ改正案にしていただければより包括的になり、助かります。  番号16  御意見 意見の対象となる箇所:合理的配慮および環境の整備 意見:「合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例」として、下記に引用の例が、内閣府本府対応指針案に掲載されている。この例を、内閣官房の対応要領にも記載する。かつ、対応要領に、記述「府省庁のウェブサイトでPDF版で提供する文書は、テキストデータ版をはじめ、障害のある人がアクセスしやすい形で提供する」を加える。 引用: 〇オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話や電子メールでの対応を行う(合理的配慮の提供)とともに、以後、障害者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行う(環境の整備)。  御意見に対する考え方 本対応要領は、法第7条に規定する事項に関して定められるものであり、ウェブサイトの改良などの環境の整備については、別途、適切に対応してまいります。 p8  番号16  御意見 (意見の理由) この引用例は、民間事業者においても極めて重要であると同時に、特に府省庁が率先して実施する必要がある。PDFのみの提供は、視覚に障害がある人等にとって非常に利用しにくい。OCRがそうであるように音声読み上げもPDFに十分に対応するものではなく、誤変換等が避けられない。PDFのみが提供されている状況は、障害者差別解消法が定義している社会的障壁(情報の障壁)となり、参画を妨げ、大きな不利益をもたらしている。 本パブリックコメント募集では、テキストデータが提供されているが、内閣官房公式サイトにおいては、政策制度、情報公開等の文書提供が、ほとんどPDF形式のみとなっている。内閣府ウェブサイトの「障害者施策」のページで法令や計画文書や会議資料のテキストデータ等が提供されていることをモデルに、部署や省庁の違いをこえて推進する必要がある。  番号17  御意見 意見の対象となる箇所:職業選択および意思決定 意見:対応要領に次の記述を加える。かつ、具体的に伝えるために、下記の事例のいずれかを加える。   記述「障害別および性別によって特定の職業や職種に結びつける対応や進路を狭める対応をしない。本人の希望と適性を職業選択に活かせるように対応する。」 (事例)知的障害のある女性だからと、いつも手仕事が用意された。どんな仕事をしたいか、希望を聞かれたことがない。 (事例)「聴覚障害があるから、人と会話することがない、手を  御意見に対する考え方 別紙の「第4 合理的配慮の基本的考え方」において、障害者本人の意向を尊重しつつ、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされる必要があるとしています。また、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとし、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意することとしています。頂いた御意見については、今後の参考とさせていただきます。 p9  番号17  御意見 動かす仕事を」と、小学校低学年から推奨された。女性には縫製や理髪の職業コースがあった。本人の希望や適性とはかけはなれているために離職した人も多い。 (事例)「修士課程の次には博士課程に進み、大学で研究者として頑張りたい」と教員に伝えたところ、「あなたはろう者で女性だから大学への就職はできない。研究所にしか就職先はない」と言われた。 (意見の理由) 障害がある人に対しては、伝統的に「手に職を」という職業教育が行われてきて、本人の希望や適性以前に、あらかじめ特定の職業に誘導されることが多い。事例にあるとおり、そのなかで性別による対応の違い(障害があり女性であることによる複合差別)もある。そのため上記意見のような記述が必要である。    番号18  御意見 意見の対象となる箇所:本人の意思決定の基本にかかわるところ 意見:次の記述と、事例のいずれかを加える。 記述 「あらゆる相談や接遇の最初に、本人の希望を聞きとり、それを尊重するルールをもつ。あらゆる偏見を廃して、本人の話をよく聞くことから始める。」「障害福祉サービスの提供に当たっては、利用者の意向を踏まえ、本人の意思に反した異性介助が行われることがないよう取組を進める。」 (事例)入院先で日常的に異性介助が行われている。女性の入浴や排泄や夜勤時の介助は女性の従事者にして欲しいと希望を出しても、対応されなかった。  御意見に対する考え方 別紙の「第4 合理的配慮の基本的考え方」において、障害者本人の意向を尊重しつつ、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされる必要があるとしています。また、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとし、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意することとしています。頂いた御意見については、今後の参考とさせていただきます。 p10  番号18  御意見 (事例)被害について、警察に話したが、目が見えないのに加害者についてわかるはずがない、知的障害があるから確かな話ではない、などの見方をされ、自分の話を信じてもらえなかったことがある。 (事例)障害があるので妊娠や出産や子育ては大変だと、繰り返し言われてきたので、無理なのかなと思ってきた。 (事例)障害がなかったころは積極的に産むように言われていた。障害をもつようになってから妊娠したときには、中絶を勧められた。 (事例)グループホームにて利用者がカップルで暮らすにあたって、妊娠の可能性があるとの理由から、施設側が不妊処置を勧め、結果として、利用者が不妊処置を選択した。 (事例)車いすユーザーの立場で、子育てについて福祉の窓口に相談した。障害のない保護者と同様に子どもと一緒に公園等に行きたいという願いが理解されず、外出時の育児支援はいまだに得られていない。 (意見の理由と補足) 上記のような記述と事例を入れることが、相談することや本人が希望を出すこと自体が困難になっている状況の打開につながる。障害者権利条約の柱である「他の者との平等」に向けて進むことができる。第五次障害者基本計画に「障害福祉サービスの提供に当たっては、利用者の意向を踏まえ、本人の意思に反した異性介助が行われることがないよう取組を進める。」が新設された。あ p11  番号18  御意見 らゆる現場にかかわることなので、対応要領の本文にも加えられたい。 現状は選択肢が多数あるわけでもなく、また行政サービスが生活に直結している。その中で相談する、自分の意見を表明するには、十分なわかりやすい情報の提供が意思決定の前提であり、話しやすい環境を整える必要がある。上記は障害のある人のなかでも複合的な差別を受けている女性において特に必要とされていることである。  番号19   御意見 本改正案に新設されている「正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例」は全て削除すべきである。また、「合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例」を挙げる場合は、拡大解釈されないよう十分注意した上で慎重に行うべきである。 意見の理由 対応要領においては、正当化事由の具体例を示すべきではない。なぜなら、差別的取扱いの事例は合理的配慮の提供により、区別、排除又は制限等を回避でき、合理的配慮の不提供の問題に集約される場合がほとんどであり、正当化事由の適切な具体例が見当たらないこと、また、正当化事由に当たるか否かは事案ごとに異なり、その多様性が大きいにもかかわらず、正当化事由に当たる具体例を挙げてしまうと、そのような場合は一律に正当化事由に当たるとの誤解や拡大解釈を招き、障がいのある人の権利保障が後退しかねないからである(2015年7月16日付け日本弁護士連合会「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律のガイドラ  御意見に対する考え方 御指摘の記載については、基本方針に基づき記載したものであるため、いずれも原案のとおりとさせていただきます。なお、記載されている例はあくまでも例示であり、合理的配慮の提供義務違反に該当するか否かについては、個別の事案ごとに判断することが必要である旨記載しています。頂いた御意見については、今後の参考とさせていただきます。 p12  番号19  御意見 インについての意見書」8頁及び2023年1月12日付け日本弁護士連合会「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(改正案)」に対する意見」を参照。)。例えば、「正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例」として本改正案に示されている「実習を伴う講座において、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害特性のある障害者に対し、当該実習とは別の実習を設定する。」という例は、「具体的な危険の発生が見込まれる障害特性」の内容が不明確であり、障害が「具体的な危険」を包摂するものという誤解を与えかねない表現である。 また、本改正案で「正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例」として記載されているのは、いずれも障害があることはサービス利用を拒否する「正当な理由」としては認められないが、合理的配慮を提供することでサービスの利用拒否を回避できた事例であり、「正当な理由がある」例として列挙するのは不適切である。 「合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例」を挙げる場合は、拡大解釈されないよう十分注意した上で慎重に行うべきである。この点、本改正案において「合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例」として挙げられている「事務の一環として行っていない業務の提供を求められた場合に、その提供を断ること。」は、「事務の一環として行っていない業務」であるなどとして合理的配慮が提供されない事態を招きかねない表現である。誤 p13  番号19  御意見 解や拡大解釈につながる危険性が極めて高く、不適切であって、例として挙げるべきではない。また、「イベント当日に、視覚障害者のある者から職員に対し、イベント会場内を付き添ってブースを回ってほしい旨頼まれたが、混雑時であり、対応できる人員がいないことから対応を断ること。」の例については、付添いが「過重な負担」か否かは、イベントの規模、人的体制の整備状況などによって様々である。むしろ、この事例については、具体的な場面や状況に応じた代替措置などを追記し、「合理的配慮を提供することでサービスの利用拒否を回避できる事例」として示すべきである。さらに、合理的配慮の提供義務に反しない例を挙げる場合は、このように影響が大きい対応要領に記載するのではなく、より具体的な内容を記載することで、事例を十分精査でき、判断要素や判断過程を書き込むことのできるマニュアル等に記載するべきである。  番号20   御意見 言葉の選択について、特に障害者に対する呼び方については、感じ方が人により異なるため、配慮が必要です。「障碍者」の「碍」は「障壁」を意味し、社会の壁に直面するという現状を表している一方で、「障がい者」の表現は一部の人々の不快感を軽減するかもしれません。「害」の字は負のイメージをもたらし、誤解を生む可能性があります。我々は全ての人々が平等に社会の一員であると認識すべきであり、この視点からすれば、「害」の言葉を避けるべきかもしれません。  御意見に対する考え方 法において定義されている字句を基に記載しているため、原案のとおりとさせていただきます。    ※ 上記のほか、障害者施策全般に関する御意見を多数頂きました。頂いた御意見等については、今後の参考とさせていただきます。